年の瀬に「家守り」について少々

今日は磯崎新さんが亡くなって
ちょうど一年。

ということで何か書こうと思いましたが
薫陶を受けたというわけでもなく
建築作品もそんなに多くは見ていません。

磯崎さんの事務所「磯崎新アトリエ」は
設計事務所としてはじめて「アトリエ」と
名付けたそうで

建築が芸術である、ということの
アピールかとも思いがちですが
ストレートにそういうわけでもなく

磯崎さんほど
そのあたりのことを
難しく語っている人もいませんね…

絶筆となった『デミウルゴス』を
読んでいますが
なかなか理解が追いつきません。

静岡県民に一番身近な磯崎作品は
東静岡のグランシップでしょう。

この建物は、磯崎作品としてよりも
外装材のスレート落下で
有名になってしまった、そんな気もします。

2キロ以上あるスレートが
18メートルの高さから落ちた
ケースもあるというので
直撃したら命に関わるケースです。

以前、とある集まりの会合を
毎年グランシップでやっていて
僕も度々足を運んでいたので

こんな看板を尻目に
ヒヤヒヤ歩いておりました…

当時は設計の問題ではないか
そんな話も出たりしていたのですが

発注者側の静岡県は賠償請求は
しておりませんので
設計の問題、という結論ではなく

そういう材料
(スペインの天然石スレート)
を選んだのがやむを得なかった
ということなのかな?

この件が初めて報道されたのは
2009年ですが

実は2004年から5年間で
40件の落下があったということが
明らかになりました。

早く言ってよね、こういうことは…

その後、スレート部分を
メッシュパネルで覆って
落下防止をする、という
対策がなされました。

↓該当部分拡大

磯崎さんの命日に
こんな話を蒸し返してしまい
大変恐縮ですが…

グランシップはもうだいぶ前の話ですが
今年になって地元浜松でも
商業施設(ザザシティ)の
外壁落下事件が起きています。

中日新聞より(浜松市提供写真とのこと)

こちらは発見後速やかに
報道されましたが

重さ15〜20キロぐらいのタイルが
数メートル上から落ちています。

経年劣化、という報告がされていますが
20年余りでそんなに派手に落ちられてもね…

当時、僕もその前を毎日通っていて
たまたま怪我人がなくて幸運だったとしか
言いようがありません。

どんな建築にも劣化や破損は
ある、という前提で

誰かがそれを確認、修繕し続けて
いかなければいけないわけです。

住宅については
建てた工務店がしっかりと
面倒を見ていくことが大切です。

呼ばれたら行く、では
こういう事故は防げませんよね。

前にこんなことも書きました。

かゆいところはありませんか? に応える人・応えない人
床屋さんでシャンプー時に「かゆいところはありませんか?」と聞かれると、かゆかろうがかゆくなかろうが別にありません…と答えていました。 何かあったら相手から言ってきてくれる、そんなことばかりでないので自分から聞いてみるのも大事。そんな話です。

ほとんどの工務店が
これから長期休暇に入ります。

何か不具合があったとき
住まい手さんに不安がないように
長期休暇中の対応方法なんかも
しっかり広報しておくことも
大切ですね。

なお、かくいう私は
年末年始もいつもと変わりませんので
何かあるぞ! という方は
フツーにご連絡くださいね。