たまにはいいもの見ておこうと
御殿場は東山・旧岸邸に
行ってきました。
晩年の吉田五十八が手がけた
元総理大臣・岸信介の自邸です。
吉田五十八の作品は
住まいとして設計されたものは
ほとんど現存していません。
まさに邸宅。
手拭いコレクターの僕は
以前こちらに訪れた時に買った
こんなものを持っているので
これで全貌がわかるかな?
(手拭いはもう絶版だそうです)
工務店も「〇〇邸新築工事」なんて
図面や契約書に書いたりしますが
本来、「邸」は
大きくてりっぱな家とか
地位の高い人の家という意味で
「邸」なんてつけて、嫌味か?
なんて思うのは
僕の性格ゆえですが
お客様の家を大切なものとして
慣習で書いていることでしょうけれど
僕のような客に突っ込まれるかもなので
本来の意味は知っておいた方がいいかな…
というのはさておき
こちらは流石に邸宅。
居間とか茶室とかは
世の中に写真がいっぱいありますので
趣向を変えてみて…
キッチン、ではなくて厨房。
来客も多いから大勢の調理をするための
厨房があるわけです。
厨房や女中部屋のような場所と
居間・食堂などのパブリックスペースは
扉で仕切って音や匂いを遮ります。
食堂。カバーのかかった椅子だけ
着座が許可されています。
座ってみるとこんな感じ。
建具は全て押込戸で
見事なピクチャーウインドウに。
建具の開閉は
残念ながら自分ではできず
スタッフさんにお願いしないといけません。
この建物は1969年竣工
僕の生まれるよりさらに前のものですが
まだそれほど大きく普及していなかった
アルミサッシや
当時最新の材料とされた塩ビの天井
アルミすだれや
セントラルヒーティングなど
積極的に工業製品を用いながら
しっかり設えていくのが
吉田五十八の流石の仕事
といったところでしょうか。
素材や設備にもそれぞれ
魅力はありますが
それがただ使われていれば
魅力的な家になるわけではなく
やっぱり設計の総合力ですね。
こんなスケールの仕事は
そうそうないでしょうけど
どんな仕事でも
総合力が求められるのは
変わらない。
〇〇の設備が欲しいからとか
Ua値いくつ以下じゃなきゃダメとか
そういうのをうまく聞き流して
総合的にいいものを作りましょう。
元の敷地内には
整備された明るい竹林も。
疲れた心身のリフレッシュにもぜひ。
とは言っても、設計者はここを訪れたら
あれこれ考えちゃうだろうから
かえって疲れちゃったらゴメンナサイ!