方位を考えてお金を無駄遣いしない家をつくろう

プロ相手に今更何をいってんだ
みたいなタイトルですが

方位を考えずに作られている家が
思いの外、多く…

ちょっと苦言です。

さて、この週末は、ホントに12月か?
というような暖かさでした。

12月10日の浜松の平年値は

平均気温9.5℃
最高気温14.0℃
最低気温5.7℃
日照時間6.3時間

これに対して今年は

平均気温12.9℃
最高気温19.5℃
最低気温7.6℃
日照時間9.3時間

まさに小春日和。

この日の日没から
日の出までは12時間弱

そのうち9時間以上
おひさまが顔を出していたので
気温以上に体感が暖かかったようです。

日照時間というのはそのままズバリ
おひさまの日光が地表を照らした時間

気象庁の定義では
直達日射量が0.12kW/平米以上
とされています。

当初は、ここで直達日射の定義や
測り方を書いてみたのですが
長いし面白くもならなかったので
バッサリ割愛!
(実はその部分を書いている時間が
全体の7割ぐらいだったけど…)

ともあれ、冬の日差しは
ありがたい限りです。

住宅設計では
夏の日差しをさえぎり
冬の日差しを取り入れるのが
セオリーです。

浜松では
夏至の南中高度が79度
夏至は32度ぐらい

それを元に
こういう絵をよく見ます。

軒の出が適切なら
夏は日をさえぎり
冬は日差しを取り込む

この絵は
家が真南を向いていて
冬至、夏至の正午の図としては
間違っていないのですが

冬至・夏至はそれぞれ
太陽の南中高度が
最も低い、最も高い、という日であって

一番寒い、一番暑い日、ではないですね。

地域によりますが夏は8月が一番暑く

冬は1月ごろが一番寒いケースが多いかな?

その頃にいかに日射を遮ったり
十分に取り込んだりするかで
住まいの心地よさがずいぶん変わります。

でも、その軒の出し方や
そもそもの窓の位置だって
動いていく太陽に対応できないと
意味が薄れてしまいます。

夏の東西からの太陽光度は低くて
軒の出など関係ない角度から
降り注いでくるし

(↑こちらは夏至の時の
時刻ごとの太陽の方位と角度)

冬は真南以外からの
日射はとても少ない

(↑こちらは冬至)

前職で空気集熱式ソーラーの
びおソーラー」の
システム計画相談に乗っていましたが

このあたりを考慮していない
家が結構多かった!

それでいて
びおソーラーでなんとかなりませんか?
的な…

その前に家の方位を考えた方がいいよ!

パッシブデザインという言葉を
十分理解せずに

単純に「軒を〇〇mm出す」
というのが記号のように
用いられるだけで

季節ごとの日差しに対応する
という本来の意味を
失っているケースもよく見受けます。
(もちろんそれ以外の意味もあるけど)

もちろん敷地条件をはじめ
様々な事情がありますから

いつも真南を
向けられるわけではありませんから

タイトルにも書いた
「方位を考えずに」というのは
建物をいつも真南に向けろ

という意味だけではなくて

向いた方位に対して適切な
窓の位置、軒の出などを
きちんと検討していただきたい

ということです。

さもなくば
いくら断熱性能があがろうが
太陽光発電があろうが

冬は熱として直接届く
タダでほぼ無限の太陽熱を
まるで活用していない…

夏は思いっきり
日射を受けて家を温める

という点では
お金を無駄遣いしている
ということと同義、かも?