チベットの太陽熱セントラルヒーティングの事情を想像する

チベット・標高4700mの地で
太陽熱利用によるセントラルヒーティングが
実施されているというニュースがありました。

西蔵の高標高地域、太陽熱利用集中暖房を導入--人民網日本語版--人民日報
西蔵(チベット)自治区那曲(ナクチュ)市申扎(シェンザ)県は西蔵北部の高原の奥地に位置する。県政府所在地の標高は約4700mで、冬は寒い。現地の人々は以前、冬は牛糞炉で暖を取るしかなかった。2019年

(以下、写真も上記サイトより)

18,000平米の太陽熱集熱パネルが
あるというから
相当大きな規模…と思いましたが

メガソーラー(大規模太陽光発電)は
そのぐらいのものがゴロゴロしてますね。

なのに、この地域では
どうして太陽光発電ではなく
太陽熱利用をしているのか?

セントラルヒーティングの
利用前には牛糞(ヤクの糞かな?)を燃やして
暖をとっていたそうです。

牛糞は自然由来ではありますが
燃やせばCO2は出るし

暖房期間は7ヶ月に及ぶというので
相当な量をストックしておかないと
冬は越せなかったのではと想像します。

じゃあ発電して電気を起こせば…
と思いがちですが

おそらくエアコンが普及していないことと
住宅の外皮性能もエアコン暖房に
適していないんでしょう。

チベットの住宅は木造もありますが
石やレンガが多いそうです。

いずれにしても気密性能は
それほど期待できず
エアコンで空気温度を温めるより

太陽熱で供給される温水の熱を
レンガや石に少しでも蓄熱する

そういうやり方が
現実的だったのかな?

お国柄もあって
個々の家に手当するよりも
まとめてドン、という方が
あっていたのか?

なんて、想像しています。
全部想像なので
間違っていたらごめんなさい。

日本でも、複数戸での
セントラルヒーティングの例はありますが

温水ボイラーの熱源が
太陽熱ではない場合

ランニングコストがかかって
残念なことになってしまう
ケースもあるようです。

結局、日本では
暖かく暮らしたいと思うと
個々でなんとかするしか
ないようですね、今のところ。

日本で新築を建てるなら

まずしっかりした外皮性能を保持し
太陽熱もできる限り利用できるように
方位や窓の位置・大きさを考える

というのが王道ですが

すでにある家の寒さをなんとかしたい
という場合は、必ずしも
全部いっぺんにできるわけではありません。

「エアコンをいくらつけても寒い」
という要望に対して

日本の住まい手さんは

もっと能力の高いエアコンをつけよう
エアコンだけでなくストーブを併用しよう

という方向に進みがちで
断熱改修には消極的でした。

しかしながら、昨年度からは
先進的窓リノベも始まり
少しは環境が整ってきたように
感じています。

寒い思いをして暮らす人が
少しでも減りますように。

能登半島地震では
多くの人が避難を余儀なくされ
避難所の灯油も尽きて
寒さに震えているそうです。

公共施設の耐震改修は
進んできましたが
断熱改修は進んでいません。

避難所になりうるようなところこそ
停電時も暖かく暮らせるように
断熱改修を進めるのも
お国の義務じゃなかろうか。