身体感覚で捉えると太陽熱給湯は素晴らしい

南仏はマルセイユに、太陽熱だけで調理するレストランがあるんだとか。太陽熱利用って、まだまだ余地がたくさんあるよな〜、というか、古くからある太陽熱給湯ってもっと使われていいのでは。


日曜恒例メシの話…の番外編で、今日は僕の作ったメシではなくて、先日目にしたこんなニュースから。

【南仏発】美食の街マルセイユで「太陽光レストラン」が話題。電気・ガス使わず太陽熱で調理?! 脱酸素への本気 「ル・プレザージュ」
エディブルフラワーをあしらった、イマドキの太陽光料理 南仏、地中海の港町マルセイユ。温暖な気候と明るい太陽で、人々を惹きつける人気の街です。観光収入も好調で、今年2025年夏はコロナ禍以降最大と報じられました。いわば「フ…

フランスはマルセイユで、太陽熱で調理するレストランがある、というお話です。

日本にも、太陽熱でお湯を沸かすキットなんかは売られていますが、ここは商業レストランとしてやっているというからビックリです。

記事中に機材が紹介されていて、焦点温度は400度以上というから十分調理に使える温度になるし、太陽熱で難しい火力調整は、一枚の鉄板でも高温と低温の場所があるから使い分けるそうです。
そう、そのぐらい人間が工夫すればいいんだよね。

オープンから曇りで調理できなかった日は一日もないというから、さすが南仏だ〜、と思いますけど、調べてみると、マルセイユの日照時間は年間2900時間弱、といいます。

これがどのぐらいかというと、僕が住む浜松は日本でも有数の日照時間ですが、それでも2500時間ぐらい。
東京は2000時間前後、先日行った富山は冬の日照が少なく1600時間前後、那覇は実は短くて1800時間程度。

日照時間だけでなく日射量も問題になるのですが、マルセイユはいずれにしても浜松より上で、その地域特性のなせる技なんでしょうけど、もしかしたら浜松でも出来なくはないのかな…?

建物のパッシブデザインを考えると、日射は、冬は取り入れたいけど夏は遮断したいので、通年の日射量を考えることはあまりないかもしれません。

でも、通年できる太陽熱利用もありますね。
そう、給湯に使うことです。

最近、お付き合いのある工務店さんの何社かが、太陽熱利用の給湯に取り組んでいます。

どうせ太陽エネルギーを使うなら、太陽光発電、というのが昨今の時流です。
でもなぜ給湯なのでしょう?

電気よりも変換効率がいいとか(熱は熱のまま使うので)、設備投資してからの回収が早い、ということもありますが、純粋に「太陽のチカラでお湯ができると嬉しい」ということも大きいかな。

太陽光発電も同じはずなんですが、売電などの関係もあってか、直接的な損得勘定が働きがちです。

有体に言えば、曇ったり雨が降ったりすると、損した気持ちになる。

いったい、何が違うんでしょう。

多分、身体感覚的に掴めるかどうかの違いが大きいのでは、と感じています。

40℃のお湯が200Lできました、というと、得られたボリューム感がわかりやすいです。

一方で、1kW/hの電気が発電できました、と言われても、1kWhがどのぐらいの仕事量なのか、身体感覚で掴める人は多くないでしょう。
お金換算の方が簡単だよね。

(HEMSや蓄電池の容量といつもにらめっこしていたら、だんだんわかってくるかもしれませんが)

昨今の住宅は、いろいろなことが数値で評価できるようになりました。

それは良いことも多い(ダメなものがはっきりする)反面、住まい手が、身体感覚での良し悪しを判断する力を失う一端にもなっているように感じます。

でも、人間、そこまで馬鹿じゃないと信じたい。

住まい手の身体感覚に、もっと期待していい。

そういう発信をしていきましょう。