首相が熊本地震の被災地を視察した際の様子を、首相官邸が各アカウントで配信した動画が、一部で物議を醸しているみたいで…
「プロモーション動画みたい」という批判が多い、みたいです。
そうか、プロモーション動画と聞いては、黙っていられないな…
話題の動画は、短めで縦位置の、いわゆる「ショート動画」です。
今んところ、まだ消されていないようなので、各アカウントで見られるかな、と。
X↓
高市総理による、令和8年熊本地震による被災状況視察のための熊本県訪問の様子です。 pic.twitter.com/ibfKkYbs9l
— 首相官邸 (@kantei) August 3, 2026
XとYouTubeで、コメントの傾向が結構違うな〜、というのは今回は置いといて、この動画がプロモーション動画、として批判された、というのは、裏を返せば、プロモーション動画としては優れていた、ということかもしれません。
2分弱のこの動画、どんな構成なのか、みてみましょう。
冒頭
冒頭数秒がつかみ、一番大事。
ヘリに乗り込むアクションを冒頭に持ってくることで、「即座に現場へ駆けつける実行力とスピード感」を視覚的に強く印象付けてるな〜。ここだけはBGMがないのもポイント。ヘリの音の方がエモいもんね。
↑だと思うじゃん?
実は、冒頭の一瞬だけ、首相が現地の人っぽい人に頭を下げているカットが入っています。
肉眼だとわかるかどうかの一瞬だけ。
これが、YouTubeのサムネイル画像になってます。
YouTube↓
デカい文字を入れて、目をひくサムネイル画像をわざわざ入れるんじゃなくて、冒頭にそういうキャッチーな画像を入れておくことで、わざわざを作らなくても、エモいシーンがサムネイル画像になる、という手法。
「傾聴姿勢」のアピール
4秒目あたりから。自身の主張や演説から入るのではなく、「相手の声」を映像の一番最初に配置し、それに頷く。
「自分のアピールではなく、相手の声を聞いている」という姿勢を見せている。
シネマティックな手法
上空から被災地を見下ろして手をあわせるカットは、まあ、シネマチックです。
ヘボい制作者だと、これを冒頭に持ってきちゃいがちだけど、そうじゃないんだよな〜。これはあくまでこの辺に置くのがいい。
具体性と実効性の可視化
シャワーとか生理用品とかを画面に出しています。単に視察した、という事実ではなく、必要なものを行き渡らせている、というイメージの視覚的な裏付け。成果の一つだけど、最後じゃなくて、途中に見せている。
共感の演出
被災者と両手で手を握る、とか、ドアの隙間からそっと声をかける姿は、寄り添う、とか、共感、とか、そういうところを。
この辺が一番エモいところでしょう。
柔から剛への転換
ここで「やれることは全てやる」という姿勢を見せて、リーダーシップを見せる。リーダーシップだけでなく、柔から剛への転換、っていうか、砕けて言えばギャップ萌え。
まとめとしての「声」
最後の方に、印象付けたい言葉を入れる、というのも、いい手ですね。
「全部が全部ありがたかったです」
これが本音かヤラセかはわかりませんが、この声が、プロモ動画感を決定づけたんだろうな〜。
ブランドのアピール
首相官邸のロゴで終了。ロゴは最初より最後がいいよね。

さて、工務店のショート、として考えたら、どうでしょう?
世の中では、これが「いかにもプロモーション動画」として批判されています。
つまり、なんか批判したくなるプロモーション要素、というのがあるわけです。
それぐらい、うまくできてますよね、プロモ動画としては。
これを真似るのがいいのか? 遠ざかるのがいいのか?
上にあげたような、一つ一つの技法は、見習ってもいいものが多いと感じます。
ただ、それはあくまで技法の話であって、目的にかなうかどうかは、別の話。
めっちゃわかりやすいのは、ピアノBGMですね。
僕はあんまり動画は作りませんが、やってもBGMは入れません。やっぱ、「いかにも」になるからかなあ。
そして、ショート動画の場合は、短いですから、テーマは絞らないといけません。
この動画を真似て、社長が現場に行って、あれこれ見て、お客さんの話を聞いて…なんてのを作っても、うまくいかないと思います。
なぜか?
この動画は、「首相が視察してきた」ということをアピールする動画だからです。
つまり目的が「首相」をアピールする動画です。
じゃあ、真似て、「あなた」が登場するショート動画を作っても…「あなた」のアピールをみたい、という人は、そんなに多くはありません。
「あなた」じゃなくて「あなたの工務店」にしても、そんなに話は違わない。
ショート動画でウケようと思ったら、テーマは一点集中、そして、それは自分の個性のアピール、とかではなくて、見た人が面白がる、驚く、人に教えてあげたくなる、そんな話じゃないのかなあ。
ついつい、自分が主役になりたくなるけど、そうじゃなくて、見てくれる人に、「得した!」「面白かった!」と思ってもらうこと、なんだろうな〜。
というわけで、一般人たる僕らは、この動画に散りばめられた技法を真似しつつ、目的をちゃんと考えて、一テーマ一動画で、地道にやっていくしかないのです。
アピールしたい、というスケベ心をいかに捨てられるか。
いや、まあ、スケベ心があってもいいのが、民間の気楽なところではあるけれど。
適度にスケベ心をアピールしていきたいですね。


