「プロモーション動画みたい」と批判された動画に、ショート動画の手法を学ぶ

首相官邸が投稿した被災地視察の動画が「プロモーション動画みたい」と批判されています。
裏を返せば、プロモーションとしては機能していたということで、ショート動画の作り方を学んでみようじゃないですか。


首相が熊本地震の被災地を視察した際の様子を、首相官邸が各アカウントで配信した動画が、一部で物議を醸しているみたいで…
「プロモーション動画みたい」という批判が多い、みたいです。

そうか、プロモーション動画と聞いては、黙っていられないな…


話題の動画は、短めで縦位置の、いわゆる「ショート動画」です。

今んところ、まだ消されていないようなので、各アカウントで見られるかな、と。

X↓

XとYouTubeで、コメントの傾向が結構違うな〜、というのは今回は置いといて、この動画がプロモーション動画、として批判された、というのは、裏を返せば、プロモーション動画としては優れていた、ということかもしれません。

2分弱のこの動画、どんな構成なのか、みてみましょう。


冒頭

冒頭数秒がつかみ、一番大事。
ヘリに乗り込むアクションを冒頭に持ってくることで、「即座に現場へ駆けつける実行力とスピード感」を視覚的に強く印象付けてるな〜。ここだけはBGMがないのもポイント。ヘリの音の方がエモいもんね。

↑だと思うじゃん?

実は、冒頭の一瞬だけ、首相が現地の人っぽい人に頭を下げているカットが入っています。
肉眼だとわかるかどうかの一瞬だけ。

これが、YouTubeのサムネイル画像になってます。

YouTube↓

デカい文字を入れて、目をひくサムネイル画像をわざわざ入れるんじゃなくて、冒頭にそういうキャッチーな画像を入れておくことで、わざわざを作らなくても、エモいシーンがサムネイル画像になる、という手法。

「傾聴姿勢」のアピール

4秒目あたりから。自身の主張や演説から入るのではなく、「相手の声」を映像の一番最初に配置し、それに頷く。
「自分のアピールではなく、相手の声を聞いている」という姿勢を見せている。

シネマティックな手法

上空から被災地を見下ろして手をあわせるカットは、まあ、シネマチックです。
ヘボい制作者だと、これを冒頭に持ってきちゃいがちだけど、そうじゃないんだよな〜。これはあくまでこの辺に置くのがいい。

具体性と実効性の可視化

シャワーとか生理用品とかを画面に出しています。単に視察した、という事実ではなく、必要なものを行き渡らせている、というイメージの視覚的な裏付け。成果の一つだけど、最後じゃなくて、途中に見せている。

共感の演出

被災者と両手で手を握る、とか、ドアの隙間からそっと声をかける姿は、寄り添う、とか、共感、とか、そういうところを。
この辺が一番エモいところでしょう。

柔から剛への転換

ここで「やれることは全てやる」という姿勢を見せて、リーダーシップを見せる。リーダーシップだけでなく、柔から剛への転換、っていうか、砕けて言えばギャップ萌え。

まとめとしての「声」

最後の方に、印象付けたい言葉を入れる、というのも、いい手ですね。
「全部が全部ありがたかったです」
これが本音かヤラセかはわかりませんが、この声が、プロモ動画感を決定づけたんだろうな〜。

ブランドのアピール

首相官邸のロゴで終了。ロゴは最初より最後がいいよね。


さて、工務店のショート、として考えたら、どうでしょう?

世の中では、これが「いかにもプロモーション動画」として批判されています。
つまり、なんか批判したくなるプロモーション要素、というのがあるわけです。

それぐらい、うまくできてますよね、プロモ動画としては。
これを真似るのがいいのか? 遠ざかるのがいいのか?

上にあげたような、一つ一つの技法は、見習ってもいいものが多いと感じます。
ただ、それはあくまで技法の話であって、目的にかなうかどうかは、別の話。

めっちゃわかりやすいのは、ピアノBGMですね。
僕はあんまり動画は作りませんが、やってもBGMは入れません。やっぱ、「いかにも」になるからかなあ。

そして、ショート動画の場合は、短いですから、テーマは絞らないといけません。
この動画を真似て、社長が現場に行って、あれこれ見て、お客さんの話を聞いて…なんてのを作っても、うまくいかないと思います。

なぜか?

この動画は、「首相が視察してきた」ということをアピールする動画だからです。
つまり目的が「首相」をアピールする動画です。

じゃあ、真似て、「あなた」が登場するショート動画を作っても…「あなた」のアピールをみたい、という人は、そんなに多くはありません。
「あなた」じゃなくて「あなたの工務店」にしても、そんなに話は違わない。

ショート動画でウケようと思ったら、テーマは一点集中、そして、それは自分の個性のアピール、とかではなくて、見た人が面白がる、驚く、人に教えてあげたくなる、そんな話じゃないのかなあ。

ついつい、自分が主役になりたくなるけど、そうじゃなくて、見てくれる人に、「得した!」「面白かった!」と思ってもらうこと、なんだろうな〜。

というわけで、一般人たる僕らは、この動画に散りばめられた技法を真似しつつ、目的をちゃんと考えて、一テーマ一動画で、地道にやっていくしかないのです。

アピールしたい、というスケベ心をいかに捨てられるか。
いや、まあ、スケベ心があってもいいのが、民間の気楽なところではあるけれど。
適度にスケベ心をアピールしていきたいですね。