昨日のお話は、機器の故障時の対応について、だったんですけど、関連して(してないか?)、気になるお話がありました。
AppleのMacBookの小売販売が苦戦、というお話です。

これ、どういうことかというと、初代Appleシリコン(つまりM1)搭載のパソコンが壊れにくいし、性能も十分あるので、買い替えが進んでない、と。
(あとは、メーカー直販で、整備済製品を売っているので、それが小売の販売を侵食している、とも)
僕も、M1のMacBookAirを使っています。
発売当時から使っているので、もうじき6年になります。
このブログも、それで書きました。

6年前のパソコンって、使い物にならね〜、みたいなものが多いのですが、M1のMacは、出張に持っていって簡単な仕事をする、というぐらいなら、何の問題もありません。
一方で、こんな話もありました。

これは主にiPhoneの話ですが、Appleは、「できるだけ長く使って欲しい」ということをはっきり言っているそうです。
普通、「できるだけ早く買い替えてほしい」と思いそうですよね、企業なら。
つまり、先に挙げた「小売が苦戦」という話も、実のところ、この発想に基づいた結果、なのかもしれません。
(まあ、OSのアップデートはいつかサポートされなくなるし、永遠に使えるわけじゃあないんだけど)
よく言われる、日本の家の「寿命」。
「30年ぐらいが寿命です! 短すぎますよね!」みたいなことを言う住宅事業者さんもおりますね。
これは寿命じゃなくて、「滅失住宅の平均築後年数」、つまり、壊された家が築何年だったか、という平均値です。
壊れちゃった(寿命)ではなく、壊しちゃった、というもので、物理的寿命ではありません(社会的寿命ではあるかもしれない)。
まあ、あえて「寿命」と書きますね、ここでは。
で、この平均値が、2018年の調査だと、全国平均で38年、だそうです。その5年前は32年、さらに5年前だと27年、なので、滅失住宅の平均築後年数(いわゆる寿命?)は、伸びてきています、明らかに。次の調査だと40年は超えてくるのかな?
とはいえ、40年です。
今、家を建てている人たちが、40年で家を壊すことをイメージしているかどうか。
多くの方が、40年ローンで家を建てているけれど、これはもしかして、図らずも家の「寿命」とおんなじだったりして…
(いや、40年後はもっと長持ちしている、とは思うんだけど)
できるだけ長く使って欲しい、というのも、多くの住宅事業者が言ってはいます。
でも、じゃあ本当に長持ちしてしまったとして、そうしたら、どうなるか?
すごく大雑把に、例えば、「寿命」が40年なら年に2.5%が建て替わる。50年なら2%。掛け算すると0.8倍。
このペースの場合、建て替え数が8割になる、つまり市場が2割縮む、ということ。
実際には人口減やら何やらあるので、もっと減るわけですね、「家が長持ちした場合」の、建て替え需要は。
物理的耐久性以外に、心理的・社会的耐久性もあるので、現実に、このまんま数字が当てはまる、ということはないでしょうけど。
じゃあ、なんでAppleは、長く使い続けて、と言えるんだろうか?
AppleMusicがあって、iCloudがあって、AppStoreの手数料があって、AppleCareがあって、整備済製品の直販もある。こうやって並べてみると、機械を売る商売、というより、機械を持っている人から少しずつ集める商売、に見えてきますね。
で、ここで大事なのは、その「持っている人」の中に、6年前のパソコンを使っている僕も、ちゃんと入っている、ということです。
僕もiCloudに毎月払ってるし、AppStoreでもちょっとずつ支払ってる。
Appleの稼働中のデバイスは、世界で25億台を超えているそうです。
この台数が、そのまま課金の母数になる。
サービス部門の売上は年間1,000億ドルを超えていて、粗利率は7割超。
機械のほうは3割ちょっとなので、どっちを伸ばしたいのかは、まあ、聞くまでもないでしょう。
買い替えてもらわなくても、困らないのだ。
古いものを使い続けている人は、儲からないお客さんなんだろうか?
少なくともAppleにとっては、そうじゃない。長く使ってくれる人は、長く払ってくれる人でもあるので、「できるだけ長く使ってほしい」と堂々と言える。別に企業として奇特なことを言っているわけじゃなくて、そう言えるだけの構造を、先に作ってあった、ということなんだと思います。
6年前のMac使い続けているから優良顧客ではないよな〜と思っていたけど、そうでもなかったのでした。
これが、住宅でできるだろうか?
定期点検、メンテナンス契約、10年後20年後の改修、設備の更新。
このへんは、すでに多くの工務店がやっています。
やってはいるけど、たいていは新築のおまけ、あるいはサービス(無料のほう)の顔をしている。
(この話は前に縦は、すいているかもしれないでも書きました)
じゃあ、Appleでいう「整備済製品」にあたるものは、住宅だと何になるんだろう。
自分のところで建てた家を、自分のところで買い取って、直して、また自分のところで売る。
言葉にすると当たり前みたいですが、これ、今はほとんど全部、不動産屋さんの側に渡ってますよね。
自社が建てた家なのに、その家の二回目の売買には関われない。
二回目どころか、その家が今どうなっているかも知らない、というケースも珍しくない。
もったいない。
ただ、最初のニュースに戻ると、引っかかることがあります。
Appleが長寿命でも平気なのは分かったけど、小売は苦戦しているんですよね。
小売には、アップルのエコシステムの恩恵がないから。
家が長持ちするようになったとき、この「小売」にあたるのは誰なんでしょう。
元請けなのか、下請けの職人さんなのか、建材屋さんなのか…?
Appleは25億台の稼働デバイスを抱え込んでいる、でも、相手の顔がわかってるか? というと、そうでもない。
工務店は、25億なんて数には縁がないけれど、今までのお客さんの、顔も、名前も全部わかってる。もちろん図面もある。
Appleにはできない持ち方だよな〜。
そこに、どうAppleMusicやiCloudみたいに、毎月ちょっとずつ、みたいな仕組みが載せられるのか…?
難しいんだけど、最近とっても気になっているテーマです。


