仕事が早いと苦情が出る…?


浜松といえばうなぎ!
というイメージが強いですが
生産量でいくと静岡県は
トップではありません。

それでも浜松には今もたくさんの
うなぎ屋があります。

しっかりと味とブランドを
確立している店もあれば

なんじゃこれ、だけど有名
という店も存在します。

うなぎ、という商品の力で
なんじゃこれも
なんとかなっちゃうこともありますが

せっかくなら商品の力を
もっと活かした方がいいんじゃない?
というお話です。

浜松は、本格的な養鰻の発祥の地
とされていて、うなぎ屋さんが
たくさんあります。

そう滅多にはいきませんけれど
今回、機会があって、うな重を
いただいてきました。

お店は混んでいたし
焼き上がりまで一時間くらいは
覚悟して行ったのですが

注文から10分かそこらで
うな重が配膳されました。

ありゃりゃ、あらかじめ
焼いてあったやつだ。
フニャフニャになっている…

お客は有名店で待たずに食べられて嬉しい?
お店は回転が速くなって嬉しい?

誰も損してない…のかもしれませんが
僕みたいな面倒臭い客は
全然満足しないわけです。

この店、かなり高い方だしね…
それなら、それなりの
体験をしたいじゃないですか。

焼き上がりをゆっくり待つのも楽しい時だし
急いでいたら、うなぎ屋に入りませんがな。

食べ物みたいにリピートが
できるお店の場合は
そういう満足度が
次回の来店に大きく影響しますが

「次回」がない
家づくりだと、どうでしょう?

設計から竣工まで
1年以上かかるというところも
珍しくありません。

もちろん、工期は早い方が
経費がかからないし
次の現場にかかれるし

効率だけ見れば
早いに越した方が
いいに決まっています。

お客さんも、特段の事情がなければ
遅いより早い方がいい…
と思うかもしれませんが

必ずしも、そうでもないかも。

よく聞くのが
「家づくりが終わってしまって
寂しい」
というお話。

一生に何度もない大事業なので
工程を楽しみたい
という人もいるんですよね。

そこに、作り置きのうなぎを
出すようなことをしてしまったら…

理想は、いいものを
スピーディに提供することでしょうけど
両立は難しい。

うなぎ屋で急ぐのは野暮ってもんで
ゆっくり酒を飲めばいいのと同じように

家ができていく工程を
ゆっくり楽しめるような場を
作るのも、大切なこと
じゃないかな。

スピードが必要なケースもあるから
全部が全部とは言いませんけれど

あたかも炭火の焼きたてのような
幻想を抱かせて
レンジでチンのものが出てくると

僕みたいな面倒なお客に
文句言われちゃうぞ…

なんて話を妻に言ったら
「うるせえ、ガタガタ言わず
出されたものを黙って食え」
みたいなことを
もう少しだけソフトに言われました。
うーん、世の中はむずかしい。