先月来
阿波おどりのプレミアム桟敷席の
報道をちらほら見受けます。
建築基準法違反の状態で
使用されてしまった! と。
席のお値段は一人20万円もするそうで
高そうなイメージの相撲の枡席
(一人1万強)よりもずっと高い!
それで、何が問題だったかというと
- 階段の幅や手すりの高さなどが
基準以下だったり
蹴上が高すぎたりした - 設計では基準を満たしていが
施工されたものは寸法が違っていた - 検査に通らなかったので
指摘事項のうち、手すりなどは修正 - 階段幅と蹴上は修正できないので
「気をつけて誘導、照明を強化」
という措置をして、当日使ってしまった
ということらしい。
NHK NEWS WEBより。
実行委員会が報告書を出したので
読んでみました。
実行委員会の報告の中身は
ほとんど企画会社の報告と
同じです。
中に、強烈に
「え?」
と思う箇所がありました。
根本的な原因は、実行委員会と
この桟敷席を企画・販売した業者の
両者が
建築基準法に関する十分な専門知識を持ち合わせていなかったこと
と記されていたのです。
いや、クライアント(この場合は実行委員会)に
基準法の十分な専門知識なんか
普通、なくて当たり前でしょ。
企画会社も、建築を直接
やっているわけではないので
十分な専門知識を求めるのはどうか。
(ただ、過去にも同様の企画を
やっているようなので
脇が甘い、といえば大甘)
この件の問題は
- 原設計で正しく記されていた寸法が
現場では違ってしまっていたこと
(調達できなかった、なんて報道もあったけど
いずれにしてもプロとしてアウト) - 検査でアウトだったのに
再度検査を受けていないこと - そして、建築指導課も
検済になっていないのは知っていたが
「当然、直して使っているものと思い込んでいた」と
(え、指摘しておしまい?)
これ、実行委員会や企画業者じゃなくて
建築事業者と行政の問題ですよね?
この人たちはどっちも
「建築基準法の十分な専門知識」が
必要だし、備えているはず。
それが、図面と違う施工で
違反をするわ
指摘したものが直ったと
「思い込んで」しまうわ
そんなことが通るなら
みんな好き勝手なものを
建てますがな!
実行委委員会の報告書は
とにかく自分たちと企画業者が悪い
という感じの内容です。
建築指導課に謝罪したとも書かれています。
いや、建築指導課だって
「思い込んで見落としました」と
謝罪しないといけませんよね。
そして、一番の問題は「建築事業者」。
そもそもは建築事業者が
しっかりしていたら起こらない問題ですよね。
検査が、開催日の前日だったというので
相当ドタバタしていたのかもしれませんが
(正しい寸法での)確認申請は7月末に出ていた
というから、やっぱり現場側の問題かな…
社会的には「建築事業者が悪い!」とならなくて
工務店業界としては一安心、かもしれませんが
公開情報を見る限りは
そこのプロ意識、知識の欠如が
決定的だと感じました。
そんなミスはやらねえよ!
というところも多いと思いますが
下請けも含めると
何が起こるかわからない
という怖さがありますね…。
でも、一番理解できなかったのは
20万円の参加費を返金した
という話。
確かに、やり直すというわけには
いかないけれど
参加者は仮設建築物に
お金を払ったんじゃなくて
体験に払ったんだから
対価は得ていいんじゃない?
(台風が来てたとか
別の問題はあるけれど)
お金を返すというのは免罪符に
ならないことも多々あります。
というわけで
「やらかした」ときの対応として
全然ダメな例に見えました。
まあ、「やらかした」ら
僕もアナタも慌てちゃって
おかしな対応してしまうかも。
今回のような低レベルの事故を含めると
「やらかし」の予測なんて
事実上、不可能な気もします。
普段から修羅場をかいくぐって
肝を据えておくというのが
一番なのかもしれない。