日曜日から
宮崎県は高千穂に来ています。
ここは日本神話ゆかりの地として
有名ですが
工務店関係者なら
林産地としての
高千穂郷・椎葉山地域も
知っているかもしれません。
そんな林業県である
宮崎県では
全国に先駆けて(?)
「盗伐」への取り組みも
進めているそうです。
盗伐、すなわち山の木を
伐って盗むという行為。
森林ジャーナリスト・田中淳夫さんの
最新刊『盗伐』
この本には宮崎で起きた
盗伐が赤裸々に描かれています。
盗伐自体はずっと以前から
あるようですが
近年のそれはまた変化していて
利用価値の高い銘木を
盗むのではなく
質より量、機械の力を活かして
短期間で大量に伐ってしまう
乱暴なやり方が増えているそうです。
(写真はもちろんイメージで盗伐現場ではないですよ)
今、木材は構造材や造作材として
質の高いものが求められるのではなく
合板やバイオマス燃料など
木材の質はどうでも良いから
量が欲しい、というものに席巻されていて
盗伐材もそちらに流れているのでは、と。
そして悪いことに
業界も行政も盗伐に対して
甘いというか半ば認めているというか…
これは宮崎県だけの問題では
ありません。
宮崎は、たまたま盗伐被害者が
声をあげて団体ができたため
被害が明るみになっていますが
おそらく全国どこでもそうではないか
そんな話がつづられています。
こっそりとやる盗伐もありますが
タチが悪いのは誤伐のフリをする輩
堂々と他人の山の木を
伐っておいて
見つかったら
すんません、間違えて伐りました
半ばひらきなおって
ごく少ない額を弁済しようとする
こんなやり方が多いらしいです。
行政に訴えても
まあ間違いは誰にでもあるよねとか
1000本以上伐られたはずが
立件されたのは
わずか丸太7本の窃盗行為とか
他人の家や会社の敷地に入ってきて
置いてあるものを持ち去れば
明確な犯罪ですが
山は敷地境界があやふやで
誰でも立ち入りできる環境なので
そこは私有地ではなく
公共のもの、という認識も
多くの人にあるらしい。
かくいう僕も昔はオフロードバイクで
山を走ってましたけど
誰かの持ち物ですよね…すみません。
こんな具合に人の意識でも
法律上も、森林の位置付けは軽い
でも、そこで生産された材を
使わなければ
多くの工務店は仕事ができない
盗伐された材は
堂々と市場に持ち込まれて
販売もされている可能性があるから
場合によっては知らず知らずのうちに
盗まれた材で家を建てている
そんなこともあるかもしれない。
認証材なら100%安全かというと
ないよりずっとマシ、という程度らしく
結局のところ
流通だけに頼るのではなく
産地ともつながりを持って
確かな材を
手にいれるしかないのかもしれない。
そのために材料の価格が
高くなるのは仕方ないのか?
難しい問題ですが
お客さんだって
盗まれた材で建てるぐらいなら
少し高くても仕方ない!
と言ってくださる方ばかりだといいんだけど…
と、いつになく真面目モードですが
これも神話の土地・高千穂の空気が
そうさせるのか…?
高千穂に滞在中の様子はまた改めて!