図書館でこんな本が目につきました。
『間取りの模範解答』
テーマごとに「間取り」が掲載されていて、その間取りに至る考え方を教えてくれます。
「模範解答」は、あくまでその考え方、視点の回答であって、その「間取り」が直接の模範回答、ってわけではないはずです。
だって、土地が色々違うもんね。
お客さんの関心事の多くは、実のところ「間取り」にあるような気がします。
子ども部屋が二つほしい、書斎がほしい、リビングにつながるガレージがほしい…という「欲望」を、パズルのように組み合わせると「間取り」の完成。
お客さんは、敷地や予算という条件はお構いなしに、間取りの欲望を出してきて、それをうまくおさめるのが設計者の腕の見せ所…
これが、割とよくある「住宅設計」かもしれません。
昨年亡くなった建築家の秋山東一さんが「間取るな危険」という言葉を遺しています。

上に挙げたように、「間取り」からスタートすると碌なことにならないぞ、という警鐘です。
間取り先行でなんとか平面計画ができたとしても、構造的にはなかなか大変で…なんてことを経験している人も多いでしょう。
それって、見た目も構造面でも、美しくないよなあ、きっと…
しかも、ご要望通りの「間取り」が、使いやすいかどうかも、また別の話。
じゃあ何からやるか? そりゃあ、配置から。
土地の条件は千差万別ですし、その土地にあった配置計画をした上で、構造的に成立する箱を考える。
そして、最後に必要なものを配していく。(この場合の「必要」は、お客さんの要望と、必ずしもイコールではないかも)
「夢を叶える」とか言って、要望の「間取り」を作っちゃう方が、楽チンだし、お客さんも最初は喜ぶかもしれません。
でも、お客さんの要望に応える、というのは、必ずしも、言われたことを全部やる、ということではないはずです。
というより、むしろ、「いやこの方がいいですよ」ということが出来るかどうかが問われているような。
ただ、それをうまく伝えるのは、結構難しいです。
設計力というのはコミュニケーション力でもあるんだなあ…というか、設計だけじゃなくて、いろんな仕事が、みんな、そうかなあ。
AIが「正解っぽいもの」をサラッと出してくれるご時世、その正解っぽいものを疑わない人も増えてきています。
秋山さんがそういうの見たら、なんていうかなあ。
AIが出してくる答えって、世の中のいろんなことを混ぜこぜにした結果で、それってまさに「混ぜるな危険」だったりして。
