壊れた時に止まったままにしないためには…?

訪問した金山中学校のOMソーラーは
残念ながら現在正しく機能していない
とのことでした。

シンプルな原理・構造で
メンテナンスが簡単
それが魅力の一つだったはず。

それでも止まったままに
なっているのはなぜ?

今日はそんな話です。

竣工から30年経つ金山中学校。
校舎と体育館にOMソーラー
(空気集熱式ソーラー)が導入されています。

今回はツアー移動の関係で
校舎の南側からの写真が撮れませんでしたが
体育館にも大量の集熱ガラスが載っています↓

ここで集熱した空気を
ダクトを経由して床下に持っていく
それが基本です。

この体育館ではそれ以外に
館内に直接温風を
吹き出す仕組みも併用しています。
(左端のパックンフラワーみたいなところ)

↑この看板の写真を見たことがある人も
多いかもしれません。
体育館に掲示されています。

ところが残念ながら
金山中学校のOMソーラーは
正しく機能していないとのことでした。

↑空気搬送経路であるダクトは掲示板に…

空気集熱式ソーラーが
正しく動かなくなる理由としては

  • ファンモーターの故障
    (取り入れ運転ができない)
  • ダンパーモーターの故障
    (空気の流路切り替えができない)
  • 制御盤の故障
    (これらの制御ができない)

がほとんどです。

集熱面のトラブルや
給湯周りのトラブルも
ありますが
根本的には上の三つが多い。

今回は空気集熱式ソーラーに
関わっている人たちも
多数参加していましたが

誰の責任というわけでもなく
残念だよね…というだけに
終わってしまいました。
(その後、動いている人がいるかもしれませんが)

空気集熱式ソーラーが
止まったままになる理由としては

修理費用が捻出できないか

うまく動いていないことに気づかない
あるいは別に構わない

のどちらかがほとんどです。

前者の場合、新設したときは
補助金だったり住宅ローンだったりで
賄えますが

何十年か経ってから
〇〇○万円かかりますと言われても
そんなお金の出どころがなかったり
(雷などでの制御の故障は
火災保険が効くことが多いです)

後者の場合は
単純に効果がうまく出ていなくて
気づかないとか

そして、非住宅のような
施主が個人ではない場合も難しくなります。

実際にそこを利用する人と
維持管理する人が同じでないと
動いていないデメリットが
感じられにくかったりします。

今回がどの例なのかは
わかりませんが

止まっていても建築は当然あるわけで
学校としての機能は果たせますが
室内環境がどれだけ当初と変わってしまっているか
それが生徒にどういう影響があるのか

このあたりから考えないといけない
難しい問題です…

前職時代に勧めていた
「びおソーラー」はこうした
「止まったままになってしまう」
理由をできるだけ排除したいと

開発者の松原美樹さんが
できるだけシンプルに
可動部品を減らして
壊れるところそのものを減らし

汎用品を用いて修理を容易
かつ安価にできるように

マイコン制御をやめて
制御の故障が起こらないように

そんな工夫をしてきたものなので
もし故障した場合も
安価に修理が可能ですし
「部品がありません」ということも
起こりにくい。

もちろん、この金山中学校をはじめ
先人達の取り組みがあって
そういうところに辿り着いたわけです。

空気集熱式ソーラーに限らず
モノは必ず壊れる時がきます。

メーカーの導入前のうたい文句は
大抵は華々しくて、後々も安心
というものが多いけど

壊れた時に
物理的な入れ替えができるのか
(モノが供給され続けるかとか
メンテナンススペースを確保とか)

費用負担が安価で済むかとか

設計者も、施工者も、そして施主も
それぞれ自分の立場で
きちんと考えてみることが肝要ですよね。