国立科学博物館の「地球の宝を守れ」
クラウドファンディングが
話題になりました。
国立にクラファン?
税金との関係は?
というのも気になりますが
今回は、目の前のアウトプットだけが
コストではない、という話です。
国立科学博物館、通称「かはく」は
上野恩賜公園にある
自然史・科学技術史を扱う博物館です。
↓かはくの外観写真が手元にないので
同じく上野にある西洋美術館で
「ああ、あのあたりね」となっていただきたい。
さて、そのかはくの
クラウドファンディングのことは
報道等でご承知かと思いますが
僕も当初は
「国立のくせにクラファンだと?」
と、悪い例のように感じました。
しかし、募集するに至った
背景を知ると、そうも言っていられません。
独立行政法人になって以降
国からの交付金が徐々に減り
予算増額要求も突っぱねられて
「自分らでなんとかしろ」
そんな背景があったようです。
税金の分配って難しいけど
誰がなんの目的で
科学技術史の記録を邪魔しようとしてるんだろう…?
僕は上野界隈に用事があると
ことごとく、かはくに
吸いよさえられてしまう人間です。
↑国産恐竜(?) カムイサウルス命名時の展示。
↑「珪藻土」の元となった珪藻のことも
詳しくわかるよ!
こんな感じで僕たちが見に行ける
「かはく」は上野にありますが
あそこは「観せる場所」で
500万点以上という標本・資料は
茨城県つくば市に保管されています。
ここは
「国立科学博物館筑波実験植物園」
「植物多様性を知る・守る・伝える」
というキャッチコピーで
様々な植物を一般公開しています。
(非公開の標本も多数)
希少な在来植物もありますが
外来植物も外で育てているので
拡散につながってしまわないかな〜
なんて心配したりして
↑そうかスパイスも植物だよな〜と
妙に腑に落ちたり。
ここに、かはくの収納庫もあって
一部がガラス越しに
覗けるというわけです。
博物館で観せているのは
膨大なバックヤードから
厳選されたごく一部のものです。
だけど、その資料収集や
保管、維持管理に膨大なコストが
かかっている。
そういうことが一般に流布されたことが
今回のクラファンで一番良かったかな
と感じています。
とはいえ、クラウドファンディングで
維持するというのは継続的にはできません。
だからあんまり賛同しきれずに
僕はクラファンには参加しませんでした。
やっぱり日々の仕事の中で
事業が成立するようにしていくしかない。
これからのかはくの運営に期待しています。
また行くからね!
そうそう、楽しみにしていた「和食」の
展示がコロナ禍で延期になっていたのが
ついに始まりました。まずはこれだな。
…って、別に僕の「かはく愛」を伝えたかった
わけではなくて
どんな仕事だって本来は
お客様と接する一瞬を良いものにするために
たくさんの準備を重ねる
工務店の仕事だったら
設計力を高めたり
大工技術を磨いたり
人を育てたり
モノの値段というのは
単に経費の積み上げではなくて
こういう蓄積の結果なんですよね。
材料が高くなったから
建物も高くなった
これは厳然とした事実ですが
高い材料を使うから
高い家を提供する、のではなく
蓄積してきたものを
成果として渡すので
それに見合った対価をいただく
そういう風に
お客様に分かってもらえるように
なんてことを
かはくのクラファン騒動から
考えたのでした。