最初から貸すつもりで家を作るということ

高齢者の多い地域で
耐震性の低い住宅が多い

でも金も将来もないからなおさない
そんな話を書きました。

家を整えるのは現役世代のうちに。
耐震改修が進んでいなかったのは高齢化率と関係があるのでは。家をなおすなら現役世代のうちに、というアピールが必要です。

新NISAとの絡みで
やはり悲観的なことも書いたりしたのですが

新NISAは住宅市場に影響するのかな?
新NISAが始まって、住宅市場に資金が潤沢に流れるのか、流れないのか…? NISAのお手本、ISAのお国・イギリスのように、永年住んだ家に価値がある、そんな社会を夢見て。

その後、本を探していたら
こういう本に出会えました。

『将来貸す家、建てました!: 新NISA、住宅ローンを賢く使う戸建マネー戦略』

東京から宮崎に移住した
編集者の若橋未央さんによる
自身の体験も交えた家づくりの本です。

「マイホーム以上、不動産投資未満の家づくり」
という言葉が表紙にあります。

自分の家として
住宅ローンを使って
注文住宅を建てるけれど

投資でしっかりお金を増やして
繰上げ返済し

ローンが消えた家を
賃貸物件として収益化して

歳をとったらそれに相応しい
家に移り住もう。

そういうお話です。

お金の面と、住宅のスペック面の両面で
「今」と「将来」を語っているので

家づくり真っ最中で
目の前のことだけに夢中になっている人には
冷や水をかけるようになるかもしれませんが

むしろ、戸建て住宅にお金を投じることに
躊躇している人にこそ読んでもらえると
とても良い、と感じました。

家は買うものではなくつくるもの
という意識が僕にもあるし
多くの工務店にもあるでしょう。

あくまで目の前のお客さんのためのもので
投機的な商材ではない
そういう意識も強いはずです。

でも、将来も価値がなくならないように
手を入れながら、借り手を探すお手伝いまで
できるようなら

それはそれで工務店の役割が
たくさんあるのではないか。

日本の滅失住宅の平均年数は30年余り。
家を建てる時、誰もが30年で
壊すつもりなどないはずですが

だからといって30年後にどうすると
明確なビジョンを持っている人も
少ないのではないでしょうか。

子どもに受け継いでもらいたい
と思っている人もいるかもしれませんが
そういう自分は親から受け継いだかな?

売却も一つの選択肢ですが
何十年か後にいくらで売れるかは
皆目見当がつきません。

一方で、賃貸だったらどうでしょう。
賃貸は、エリアと広さで
それなりの相場があって

築年数だけでそんなに
不利になることはありません。

ましてや、最初から
可変性・可用性を持たせ
自分たち以外の家族が入居しても
使いやすいような

そしてしっかり
維持管理をしているような

そんな家なら
家賃も有利に働くだろうし

工務店の仕事という視点でも
長期間にわたる維持管理や
家族が入れ替わった時の
リフォームなどもありえます。

売るより、ローンを繰り上げて貸す
そういう明確な視点を持ってみると

個人資産はもちろんのこと
良質なストック住宅が増えて
社会的にも望ましい

なーんて、珍しくバラ色の未来を
想像しちゃいました。

工務店にも施主にも
大きな資本が必要でもないし
やろうと思えば今日からはじめられる

とはいえ、お客さんに
ローンを繰上げ返済して
貸したらいいよ
とは言いづらいですよね。

そっと、この本を
紹介してみてはどうでしょう。


『将来貸す家、建てました!: 新NISA、住宅ローンを賢く使う戸建マネー戦略』

若橋 未央 (著)