味の素論争から信念を学べるかも

「まわりに叩かれるから」
「使ったら、格が下がったように思われる」

これ、な〜んだ。
特定の建材じゃないですよ。

MSG(MonoSodium Glutamate)

グルタミン酸ナトリウム。
いわゆるうま味調味料
もっとわかりやすくいうと
「味の素」が代表的なアレ。

侮蔑的に「化学調味料」
と呼ぶ人も多いですね。

冒頭の言葉は、この本から。

「虚無料理」
で知っている人は知っている
料理研究家のリュウジさんの本。

また飯の話かよ〜と
思われるかもしれないけど

「味の素」を
なんらかの建材にに置き換えてみたら

「まわりに叩かれるから」
「使ったら、格が下がったように思われる」

って、思っちゃうようなこと
あるんじゃないですか?

味の素には消費期限がない
ヤバいからだ!

という意見も世の中にあるようですが
塩にも砂糖にも
消費期限はありません。

安全性もメーカーは色々な
資料を出しているし

料理に塩や砂糖は使うのに
味の素はいけないのは
なぜだろう…

と考えると、冒頭の意見のような
話になるわけです。

味の素の主要な原材料は
糖蜜。砂糖を作った時に出る副産物です。

廃物利用かよ〜と思うなかれ。
「おから」だって豆腐の廃物だけど
誰も悪者扱いはしない。

うま味調味料の主成分である
グルタミン酸ナトリウム自体も
化学的に生成される物質ではなく
自然界にも存在しているという。

まるで
「自然素材」とか「化学物質」とかの
水掛け論のようですね〜。

もちろん、ビニールクロスを
全面的に用いながら
とても上質な空間を作っている
例はいくらでもありますし
逆もまた真なり。

材料が全てを決めるわけでは
ありません。

調達コストや施工性を勘案したら
楽チンな材料でなんとかしたくなる
ということは否定しませんが

どうしてその素材を選んだのか
何が良くて何は良くないのか
それがきちんと説明できるのか?
(僕のようなめんどくさい人が
お客ではないとしても)

もちろん素材だけでなく
デザインも含めて

そこに作り手の信念が
存在することが大事。

僕自身は結局これからも
味の素は使わないだろうし
(でも含まれた食品は買う)

みなさんに
避けている素材を使ってみろ
というわけでもありません。

とはいえ、紹介したこの本は

料理の本ではあるけれど

由来とか安全性とかを
確かめた上で効能を理解し

アンチはこういう動きをするけど
自分は毅然と対応する、みたいな
目の付け所としては
とても参考になるので

建築の本ではないけれど
読んで自分なりの哲学を
ひねり出してみてほしい
、です!