綺麗事をちゃんと伝えていきたい

建築学会の提言

地域とか社会とかに影響を与える力が建築にはある、のですが、個人のエゴのためばかりになってるよなあ、という綺麗事の話。


100年前の家ってどんなだったんでしょう。

建築学会が
「日本の建築・まち・地域の新常識」
という提言を出しました。

関東大震災から100年を経て
これから100年後の理想的な
建築・まち・地域への提案とのこと。

関東大震災では
地震による倒壊のほか
火災で多くの家が消失しました。

100年を経て
関東大震災の爪痕は
まるで感じられないようになりましたが

今でもあちこちで地震が起こり
住宅は倒壊したり損傷したり…

もちろん、建築技術は向上して
大地震に耐えうる家はできるし
水密性を高めた耐水害住宅なんてのも
現れたりしています。

災害に強い
というのは住宅に求められる
大きな機能の一つなので
力を入れている工務店も多く

それはもちろん大事なことですが
この提言の中身を見てみると

住まい手、地域の一員、社会など
いくつかの立場ごとの「新常識」
掲げられています。

建築学会の提言

「作り手の新常識」

新築で評価されるより、30~40年後、100年後に住民や地域社会から感謝される建築を目指しましょう。
人々の暮らし、支え合い、地域社会の共同体意識の形成に積極的に貢献する建築を目指しましょう。
低コスト・低環境負荷で持続的に皆が最高の建築環境を享受できる建築を目指しましょう。
建築の期限を意識し、計画的な管理、点検、更新、優良化、改修、建替え、撤去が行える仕組みを考えましょう。
地域で想定される災害への建築的対策を推進し、想定を超える避難するべき災害レベルを住み手に適確に伝えましょう。
大地震後も無傷で住み続けられ、社会的損失を生じない建築が標準となるようにしましょう。
近隣で支え合う建築により人々のつながりを育み、防災性能を高める提案をしましょう。

まあ、綺麗事です。

そりゃあ、お客さんだって30年後に
感謝したい、なんて思っていなくて
いますぐ欲望を叶えたいし

ましてや100年後のことなんか
自分ごととして考えられない。

共同体意識の形成、なんて言われると
逃げ出したくなる人もいるかもしれないし

みんな別に社会のために
家を建てたいわけではない。
(って言い切っちゃうと語弊があるけど)

建築学会のいうことを
全部真に受けて実行しなければ
いけないわけでもない。

でも、この綺麗事を実行していかないと
街中がエゴイズム住宅だらけになって
30年後(か、もっと早く)には建て替え…
が繰り返されてしまいそう。

もちろん、家が売れないことには
事業の継続もできません。

だから、住宅の宣伝は
目先の欲望の話ばっかりになります。

集客用にはそういう要素も
必要だけど

ただ単に会社が儲かればいい
そういうのではなくて
こういう綺麗事を
本当に真面目に考えて取り組んでいる

そういう工務店を応援したいなあ
と改めて思いましたとさ。

提言の全文は建築学会のサイトに
掲載されています。

日本建築学会
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