先日、ホテルに泊まった時に
こんな掲示が目につきました。
全て『国産一流メーカー品』にこだわりました。
ALL PRODUCTS MADE IN JAPAN
歯ブラシ、髭剃り、石けんのイラストとともに、
やや誇らしげに掲げられていました。
でもふと、こう思ってしまったのです。
国産 一流メーカー品
この言葉の並びだけで本当に
良いものと信じてしまっていいのだろうか?
昔からよく見る掲示に
こんなのもありますね。
当店のお米は国産米を使用しています。
国産米を使用している
という情報は分かりましたが
それ以上のことは分かりません。
想像(誤解)に委ねられています。
安い外国産米で儲けようとしていない立派な店だ!
米農家の応援になって素晴らしいことだ!
外国産はとにかく不安、国産は安全!
みたいな想像を期待しているんでしょうけど
外国産米は関税がかかるので高い
(流石に昨今の米高騰で逆転しつつあるけど)
農家は別段儲かっていない
国産が安全な根拠も特にない
という考え方もできるので
僕が店主だったら
当店のお米は地元・静岡県産の
ミルキークィーンです。
もちもちした食感をお楽しみください。
みたいな掲示にするかなあ。
これなら国産ということを
アピールしつつ
食感、すなわちお客さんの利益を
アピールできる。
住宅の世界でも
「国産材を使っています」
といった言葉はよく耳にします。
国産材、さらに地域材を使えば
地域の環境は(外材を使うよりは)
よくなる可能性が広がります。
だからそれ自体は歓迎したいけど
でも、それだけで
「いい家」「いい素材」
と言い切れるでしょうか?
プロの皆さんはご存知の通り
材の取り方や乾燥方法で
性能は変わってくるものですし
産地によっても強度が結構違ったりする。
「どこで作られたか」もさることながら
それを実際の物件で「どう使った」
そして「使ったらどうだった」
そういうことが大事なんだろうけど
意外とそういう情報は出てきませんね。
ふんわりしたいい感じの言葉とか
カタカナ語なんかは
何かを誤魔化したい時に使いがちです。
そうやってあれこれ説明しなくてもいい
というのがブランドなのかもしれませんが
僕らの規模の仕事では
なかなかそこまで到達しないので
なぜその材料なのか
なぜその設備なのか
必要に応じてきちんと説明できるように
しておかないといけませんね。