もうじき、谷口吉生さんが亡くなって1年
だから、というわけではないですが
広島で、谷口吉生さんの建築を見てきました。
広島市環境局中工場

いわゆるごみ処理場です。


谷口さんといえば
美術館などの建物が多い中
ごみ処理場って見てみたいな〜
と思いながらなかなかいけず
今回、ようやく訪問が叶いました。


部分的に誰でも見学可能になっていて
2階に上がっていくと


ここは
Ecology + Atrium = Ecorium
と名付けられた場所です。
普通なら隠蔽したいものを
思いっきり見せると
かっこよくなるんだなあ〜




奥に進めば海も見渡せます。




2階のEcorium以外に
6階の展望台も開放されています。


↑6階からEcoriumを見下ろすと
わかりやすいかな?
そのEcoriumは、道にまっすぐ沿っていて


その道の先には


真ん中にある建物は
NHK放送局、その後ろにNTTクレド基町ビル


NTTクレド基町ビルは原爆ドームのすぐそばにあります。
(右手の建物。その横は三分一博志さんが手がけたおりづるタワー
どっちも2023年のリボーンアワードで行きました)


原爆ドームから南に平和記念公園
広島平和記念資料館があり
その延長線上にこの中工場があり
その軸線を塞がないために
Ecoriumが抜けているのだとか
もう一回、外観を見てみると



確かに道から海まで抜けている。
実際には原爆ドーム・平和記念資料館より
NHKやパセーラ広島が軸線上にあるような
感じもしますけど
そういう思考はとても大事ですよね。
少なくとも、道から連なる抜けが
この建物をぐっと魅力的にしていますし
何より大型建築の圧を下げることに成功しています。


(海側からだと元々圧を感じないなあ)
というわけで、僕は
もっとはやく見にきたかったな〜と
結構好きになってしまいまして


こういう展示も結構気に入ったり


しかしですね…
タッチパネルに何か出るはずが


これWindows7かな…はいいんだけど
何も操作できないよ…
サイン類がちょいと残念で







まあ、見張ってるよ
って案内しないとヤンチャをする連中が
いるのかもしれませんけど…


エレベーターホール、綺麗だな
と思う反面


サイズの合わないスタンドに
ボロボロのパネル


割れたパネルに焼けた紙
貼り直した案内



………
という具合に
建築はいいけど(後付けの)サインがダメ
という
名建築あるあるを目にしてしまい
テンションが下がるなあ…
(ものを大切に使う、というメッセージかなあ?)
サインはアレですが
この建物周辺は
悪臭なども全然ありませんし
煙も全く見えません。
建築が環境にインパクトを与えるのは
やむを得ないことだけど
それをどれだけ小さくするか
あるいは
建ったらもっと良くなるようにするか。
Ecoriumの軸線も含めて
地域に建つ建物、という視点は
住宅にも欠かせませんね。
少ない素材や端正なグリッド
存在感と
土地への溶かし込み方
何を設計の手がかりにするのか
そういったことは大いに参考になるな〜
と感じました。
たまたま行くような場所にはないのですが
広島に行く機会があれば
ぜひ見ていただきたいな、と感じました。
事前に予約すれば
ごみ処理も含めて案内してくれるそうです。
