佐塚です。
東北地方太平洋沖地震によって引き起こされた東日本大震災から12年が過ぎました。
当時生まれた子どもが小学校を卒業するぐらいの年月が経ったわけです。
当時、私も震災直後に現地入りしました。
津波被害を受けた地域にも立ち入らせていただきましたが、住宅が途方もない力で引きちぎられたように残っている土台を見て、自然災害の恐ろしさを痛感しました。
津波の被害がどうしても注目されがちでしたが、津波が届いていない地域でも、地震で倒壊やそれに準ずるような状況になっている建物も見受けられましたから、やはり住宅の耐震性は極めて重要です。一方で、熊本地震で現地入りした際には、まだ建てたばかりであろう、少なくとも現行の耐震基準を満たしたであろう住宅が、地面の隆起・陥没の影響で「ひっくり返った」ようになっている様を目撃しました。いくら耐震基準を満たしていても、地面があまりにも大きく傾いてしまえば、元も子もないのです。
津波もそうですが、地震も、「どこに建てるか」で被害の多寡が決定的に変わってきます。
近年は豪雨災害も多く、河川の氾濫に加えて土砂災害も頻発しています。これらもやはり、どこに建てるかで回避できる可能性は上がるものの、現実はどうでしょう。
もちろん漁業者が海の近くに住めないのでは商売上がったりで、職住近接のケースでは、その土地にどうしても暮らしたい、ということは当然あります。
しかし、危ない土地が分譲地として安く売り出されて家が建つ、というケースが後を立ちません。身近にもそういうケースで結局被災してしまった、という例がありました。地元の人なら、安全面を配慮して買わないような土地が、なぜか販売されてしまうのです。
東日本大震災の当時も散々言われましたが、古くからある集落は、自然災害に対応しうる場所にあることが多いです。災害を経験し、伝承されてきたからです。行政は、インフラを集中させてコストを削減したい、ということから都市計画を作成しますが、都市が災害に強いかと言えば、決してそういうわけでもありません。
かといって、古くからある集落や田畑を潰して、都市のような住宅地を作ることには賛同できません。その土地だからこそ、という産業(必ずしもビジネスを指すわけでなく)を中心に、人が生活を営んでいける環境を作ることも、私たちの大きな仕事であろうと思っています。