美しさ、正しさを決める美意識を持とう


地域の一隅を照らす工務店を
応援したい佐塚です。

工務店なら誰もが知っている
「無垢」信仰。

無垢の木はよくて
そうでないものはよくない
というやつです。

そうでないもの、といっても
その種類はたくさんあります。

合板、集成材のような
木の一面は残して接着したものや

MDFのように
一旦粉砕したものを固めたもの

化粧板を貼ったもの
木材とプラスチックを融合させたもの
といった、木材由来のものもあれば

単に木目をプリントしただけ
というものもあります。

ここで、これらが悪い
というつもりはありません。

そして、無垢ならなんでもいい
ということでもありません。

集成材はJIS(日本工業規格)ですが
無垢の構造材はJAS(日本農林規格)。

工業製品か、農林物か、という
違いだけ、なのかな…?

結構前の本ですが
『プラスチックの木で何が悪いのか』
が印象に残っています。

副題に「環境美学入門」とある。

「美学」って大袈裟なので
ここでは「美意識」ぐらいに
とらえておきましょう。

「美意識」と言ったときに
「美」とは見た目のことだけを
指さない気がします。

何が美しい所作、考え方なのか。

そんな感じでしょうか。

例えば、見た目も機能も
自然物と全然変わらない
プラスチックの木があったら?

街路樹であれば
殺虫剤はいらなくなって
落ち葉の処理も不要。

伸びすぎたり
暴風で倒れたりということも
起こりにくい。

じゃあ街路樹はみんな
プラスチックでいいじゃない。

…とは、なかなかなりません。

実はかつて、ロスアンゼルスで
プラスチック製街路樹の実験が
行われたことがありました。

当時スモッグ汚染が進んでいたロスでは
本物の木ではすぐに枯れてしまうだとか
土不足だとか、そんな背景があったようです。

しかし、この実験は多くの反対もあり
さまざまな理由で中断しています。

一見すると同じような機能なのに
何が違うのか?

本書では「美的」「倫理的」
両面でそのことを説いています。

誤解を恐れず、超要約すると
プラスチックにはストーリーがなく
自然物にはストーリーがあるから。

ということになる、かな?

街路樹と住宅の材では違うし
ホントは、一言で言えるような
簡単な問題ではありません。

とはいえ
プラスチックにもストーリーはつけられるし
木だってストーリーが怪しいものはあります。

だから、木ならなんでもいいんじゃなくて
その材と、作り手、住まい手が
どういう関係があるか、が大事です。

なぜ無垢がいいのか?
同じ機能でもっと安いものがあるけれど
と言われたら…。

私が「美しくて」「正しい」と
信じているからです!

って、堂々と言ってしまいましょうよ。

お客様が選んだからとか
コストだけで選ぶとか
これが売れるからとか。

そういうんじゃなくて。

もちろん、無垢材ではない木材が
「美意識」にあう工務店は
それを誇ればいい。

それが「美学」にまで高まっているところは
お客様に支持されて業績を伸ばしています。

お客様への「押し付け」になるか
「共感」になるかは、それこそ普段の
発信と仕事の内容次第じゃないでしょうか。