誰のために何のために建築をつくるのか
なんて問いを工務店にするのは野暮でしょうか。
誰のため→お客様のため
何のため→会社の経営維持発展のため
というのが
まあ一般的な答えなんでしょうか。
でも
その先にあるもの
というか
根っこのようなもの
その有無が、良し悪しが
工務店の強さを決めるような
気がしています。
『誰のために何のために建築をつくるのか』は
伊東豊雄さんの著
伊東さんは前の大阪万博の際に
菊竹清訓さんの事務所に所属していて
しかしEXPOタワーの担当中に
思うところあり退所
その頃から
誰のために、何のために
という思いがあったのでしょうか。
伊東さんの建築はこのブログでも
いくつか紹介しています…と思ったら
どっちも図書館だった。
↓多摩美術大学の図書館
↓ぎふメディアコスモス
本書は、伊東さんの
あるいは建築家の
という側面が強いですが
同じく建築を作っていくという点で
大いに参考になるはずです。
たまたま上で紹介したのはどちらも
図書「館」ではありますが
特にぎふメディアコスモスは
「館」でありながら「園」的な機能。
(という話は書き出すと長いので
ぜひ本書を読んでください)
建築(家)の使命として
美しい建築をつくること
(美的側面)と
失われつつあるコミュニティを回復すること
(社会的側面)
をあげ、その問題解決のために
人と人を結ぶ建築をつくる
人に居心地の良さを与える建築をつくる
人に生きる力を与える建築をつくる
と。
なにも公共建築に限らず
個人の住宅であっても同じではないでしょうか。
伊東さんは兼ねてから
建築はない方がいい
と言いながら
建築家として実例を重ねています。
でもせめて
建築が自然の流れを阻害したり
自然から独立した存在にならないよう
悩みながらつくる
これも個人の住宅にも当てはまる話です。
自分ちなんだから好きにやりたい
お客さんが望むならなんでもやります
なんてのは
一見、要望に応えているようで
美的側面、社会的側面はどうなのか…?
僕はこの点で住宅業界に
絶望を覚えながらも
少しは希望もある、と思って
そんな人たちを応援しています。
誰のために
何のために
という問いかけ
忘れずにいましょうね。