あちこちで「広角あんまり使わないようにしようぜ〜」と言ってるんですが、なかなか効き目がありません。
スマホのカメラの場合、メインカメラが広角、という場合が多いです。
iphone17proの場合、メインカメラが24mm相当、望遠が100mm相当、超広角は13mm相当です。
35mmカメラの場合、レンズは50mmが標準(人間の目に近い)、という扱いでしたが、スマホには標準レンズがなくて、超広角、広角、中望遠、みたいなことになってます。
(レンズが一つの場合は広角だけ、二つの場合は広角と超広角、が多いかな?)
スマホカメラの性能…というか、絵づくりの性能も上がっているので、web用の物件写真をスマホで、なんてことも、実際にあったりします。
SNS用ならいざ知らず、webの事例は、ちゃんとプロのフォトグラファーに撮ってもらう方がいいよ、というのが僕のスタンスですが、しかし。
ちょっと言いたいことがあったりして。
広角でもいいんだけど、目的を持って使わないと。
流石にこの手のお話で、ひとんちの物件はやりづらいので、僕の仕事部屋を例にしてみましょう。
超広角の場合↓

部屋の多くの部分が写ってます。
でも見てわかるように、左手の黄色い椅子、妙に大きいですよね。
広角の場合↓



標準レンズに近い画角の場合↓



机の下のコード、汚ねえなあ…
ではなくて、それぞれの違い、お分かりでしょうか。
超広角は、その名の通り、広い角度を超えて広げるので、左右が必要以上に膨らんでます。
人間が並んで超広角で撮ったりすると、端っこの人はだいぶ太っちょに見えてしまう、あれです。
広角は幾分マシですが、実は同じような問題もあります。
標準っぽいのは、それらに比べると歪みが少ないですけど、寄りすぎると見せたいものが見えにくくなるかも。
工務店の物件写真で多いのは、超広角に近い例です。
部屋を全部見せたい、広く見せたい、という気持ちの表れなんだろう、と理解はします。
ただ、お客さんがその写真を見てから、実際の建物を見た場合、どんな風に感じるでしょうか?
あれ、思ったより狭い! というのが正直なところじゃないでしょうか。
広く見せようとして広角で撮る、というのは、残し方としては、あんまり上品じゃないなあ…と感じています。
空間の中での、何かと何かの位置関係を見せたい、という場合は、両方が写ってる必要がありますから、そういう場合はいいんでしょうけど。
照明器具なんかが、思いっきり歪んで写ってる物件とか、よく見るなあ。写りゃいいのか?
広角も、超広角ほど歪まないにしても、本質は同じです。
人の目の見え方とは全然違う。
標準っぽい画角は、実際に見たものと近いイメージではあります。机の上も、片付けないとなあ。
さて、webサイトやSNSに写真を載せるのは、何のためでしょう。
まあ、大きな枠で言えばブランディングのため、もうちょっと絞ると、集客のため、だったりするわけです。
では何を見せたらいいのか?
「竣工写真」でしょうか?
冒頭で触れた、フォトグラファーによる写真も、「竣工写真」が、まだまだたくさんあります。
建築を表現したい、空間を見せたい、少しでも広く見せたい…ってところでしょうか。
では、お客さんが知りたいことはなんでしょう。
必ずしも、一致していないような…?
お客さんは、建築物としての建物が欲しい、のではなくて、自分の生活の器としての建物が欲しいのです。
そのイメージが伝わる写真って、どんなものでしょう?
それは、広くない部屋を広く見せたり、部屋を全部1枚の写真に収めようとしなくても、伝わることではないでしょうか。
もう一回同じ写真を出しますと、



↑この写真で何が訴えられるか…?
割と空間を無駄遣い(というか贅沢に)してるな〜、ってことと、黄色い椅子が主役級ですよね。
だから、あえてこの写真を使うなら、「広々としてて、作業中もすぐ椅子に寝ちゃう」ということを伝える、とか。



じゃ、これは?↑
超広角に比べると、黄色い椅子の極端なまでのダイナミックさが薄れているので、そういうことを伝えづらい写真です。
あんまり、何を伝えたいか、わかんない写真ですね。



ではこれ↑
これは完全に、机の上に何があるか、を見せている写真です。
部屋の全体像は分かりませんけど、この机でパソコンだのタブレットだのをアレコレしてるんだな〜
というイメージが、伝わるかな?
僕が、仕事してる雰囲気で使いたいなら、最後の写真を使います。
すぐ寝ちゃう、って言いたいなら、最初の写真です。
家の説明をするときにも、おんなじようなことが必要じゃないでしょうか。
仮に、これらの写真を「竣工写真化」してみると


(そうそう、竣工写真って、昼間でも照明全点灯、が多いですね。これもなんだかな的印象)
この写真見て、「わあ〜我が家もこうしたい!」ってなるかしら…
まあ、こじつければ、合板と蛍光灯の質実剛健な空間です、とかなんとか
ちなみに元・子どもの寝室。完全に寝るだけの寝室なので、「寝るだけの部屋なので、ザックリ作りました」と言えば、イメージ伝わるのかもしれないけど、だったらベッドがないとなあ。
(とか言ってAI加工の話になると、また別の話なので、今回はやめときます)。
「竣工写真」が悪い、という話ではありません。
でも、竣工写真だけでは伝わらないことがある。
言葉を添えると、ぐっと変わるんです。
例えば、さっきの例みたいに「寝るだけの部屋なので、ザックリ作りました」という一文があるだけで、がらんどうの写真が急に意味を持ち始めます。
「ビール片手に夕涼み」という一文があれば、実は空っぽのデッキの写真でも、生活の場になります。
しかし、デッキ全体が写っていなくても、ビールとデッキの一部が写っていれば、やっぱりもっと強いかな?
| 言葉なし | 言葉あり | |
|---|---|---|
| 竣工写真 | 弱い | 成立する |
| 生活写真 | 惜しい | 強い |


写真を何で撮るか、じゃなくて、何を伝えたいか。
それが決まってから初めて、画角の話も、竣工写真か生活写真かという話も、意味を持ってくるんじゃないかな〜。
僕のクライアントにも、竣工写真派と生活写真派がいますが、どちらがいいかより、何を伝えたくて、その写真を撮っているか。そこが揃っているかどうかの方が、ずっと大事な気がしています。
あれ、タイトルの広角やめようでも、竣工写真やめよう、でもなくなっちゃったぞ…? まあ、そういうこと。
