バランスメトロノームで室温変動を説いてみる


地域の一隅を照らす工務店を応援したい佐塚です。

昨日は、家のしつらいを
夏に切り替えたという話を
しました。

実際には、季節はある日
突然切り替わるわけではなくて
少しずつ移ろっていくわけですが
どんな季節でも共通点があります。

熱は、高い方から低い方に移動します。
その逆はありません。
(熱力学の第二法則)

夏であれば、室外の高温は室内に
入ってこようとするし
冬なら部屋の中の熱は
より冷たい外に移ろうとする。

それを遅らせるのが断熱です。
なんてことはプロの皆さんに
今更いうまでもないですが。

ただ、どんなに高断熱であっても
断熱だけで住環境が決まるわけでは
ありません。

冬であれば、外部より室温を
高めるための何らかの熱源が
欲しくなります。

夏ならば、外の熱をいかに
室内に入れないか
入ってしまったものを
いかに出すか。

これもまあ、当然の話。

熱源は
おひさまだったり
エアコンだったり
生活による発熱だったり。

どんな住宅も
「断熱」と「集熱」の
収支バランスによって
室温が決まります。

ここまでも当たり前の話。

でも、室温の変動について
大事な要素なのに
あまり考慮されていないのが
「蓄熱」です。

蓄熱が住まいの熱環境に
どんな影響が出るのか
メトロノームでたとえてみます。

メトロノームはご存知の通り
音楽のテンポを取るために
一定のリズムで左右に
振り子が振れるものです。

このリズムを遅くしたかったら
おもりを上の方に動かす。

おもりを下に動かせば
振幅の速度が速くなる。

「蓄熱」は、住まいの熱環境を
メトロノームのようにたとえた
場合、「おもり」のような
役割をします。

とはいえ、メトロノームのように
一定のリズムで室温が
変わるわけではなく
シーソーのように
「集熱」「断熱」が
関わってくるので
「バランスメトロノーム」と名付けています。

この図の左側は「断熱」。
右側が「集熱」。

集熱が多くなれば
右に傾いて熱くなります。

断熱が弱く、放熱が増えれば
左に傾いて寒くなります。

このシーソー部分の
振れ幅が大きい家は
当然のことながら
快適ではありませんよね。

振れ幅の大きさに加えて
もう一つ、大きな要素が
「振れる速度」です。

急激に温度変化があると不快。
ゆっくりであればその不快さは
低減されます。

この振れ幅をゆっくりにするのが
「蓄熱」です。

集熱と断熱のバランスをとり
住まいに蓄熱の要素を加えると
シーソーの振れ幅が小さくなって
かつ、振れる速度が小さい家が
できる、というわけです。

昨今は、断熱+空調設備でOK!
みたいな風潮もありますが
建築自体でバランスをとる
ということこそ
家づくりの妙であり
プロの腕の見せ所です。

蓄熱の要素をどうやって家に
付与していくかに
触れられませんでしたので
そのへんはまた改めて。

以上!