国宝級の畳に座ってあれこれ考えた


地域の一隅を照らす工務店を
応援したい佐塚です。

『住まいマガジンびお』に
畳職人の話を書きました。

国宝も手がけた畳屋さんに、手床の話を聞いてきた - 国宝も手がけた畳屋さんに、手床の話を聞いてきた | トピックス
今、新築住宅で導入される畳床の多くは建材畳。「スタイロ畳」と呼んだ方が通りがいいかもしれません。発泡ポリスチレンフォームを畳床に使ったものです。 軽くて断熱性もあって値段も安いということで、大きなシェアを持っています。 もともと、畳床は藁床...

実は、登場した長谷川畳店
長谷川俊介君は
僕の高校時代のクラスメイトです。

今も年に一回ぐらいですが
みんなで飲みに行ったりする仲です。
(余談ですが、飲みにいく先も同級生のお店)

彼は静岡市の久能山東照宮(国宝)
石の間の畳の張り替えを行いました。

沼津市戸田の重要文化財
松城家住宅の仕事も
この前納めたところだそうです。

国宝の改修の仕事を依頼されるなんて
ものすごいことだと思うんだけど
彼はあんまりそのことを宣伝していません。

YouTubeやったらとか
毎日ブログ書いてみたら
なんて勧めてるんだけど。

とにかく畳が好きで好きで
話を聞いた時も3時間ぐらい
ずーっと畳のことを教えてもらいました。

国宝級の畳も見せてもらい
手床の畳に座らせてもらって
「こんなに違うのか」と感激しました。

江戸末期から一度も表替えをしていないという畳。

とはいえ、文化財の仕事なんて
そうそうありません。

住宅では畳はだいぶシェアが
下がっていますしね。

工務店でも畳に詳しい人や
こだわりがある人は
それほど多くないでしょう。

畳が入らない新築も多いし
あっても畳床はスタイロだろうし
畳表も和紙やビニールだったり。

手床はとてつもなく
手間(≒費用)がかかるので
そもそも住宅の選択肢には無し。

それでも畳のニーズは
なくなりはしないので、どこの工務店も
畳屋さんと付き合いがあるでしょう。

とはいえ差別化材料とまではいかない。

本当は、職人は「腕」が
差別化材料なんですよね。

山に木材を見に行ったり
設備をショールームに見に行ったり
するのはよくあります。

同じように職人の仕事も、
見に行って体感してみてもらいたい。

カタログから選ぶ、というんじゃなく
職人の腕を見せてもらうと
お客様も「それがいい」と思うのでは。

ちょっと凹凸があるような床に見えますが…。

畳表を重ねるとそのギャップが吸収されます。でも表の向きが違うと吸収されない。不思議。

家づくりの限られた予算を
うまく分配するのが工務店の仕事です。

当然、効率化も必要だし
諦めないといけないこともある。

でも、いざ、何かを実現したいときに
それをやってくれる人がいないんでは
困りますよね。

だから、職人に尊敬心を抱き
職人がずっと仕事をしていける
環境も作らなければなりません。

工業化して職人不要にしていくことが
業界の流れだし、住宅に限らず社会が
そうなっているのは百も承知です。

承知ですが少し大きい声で言っておく。

工業化ばかりを追求すると
しっぺ返しがくるぞ!

家づくりに関わる人たちと
共存共栄を目指してほしい。

以上!