「地域密着」は施工エリアじゃなくて金の使い方

地域経済が潤わない一つの理由に
「漏れバケツ理論」があるといわれます。

せっかく入ってきたお金が
みんな外に出ていってしまうから。

これは工務店業でも考えていい話なのでは?

地元浜松の生産者さんが
作ったお米をいただいています。

生産者さんから
直接購入したこともあるのですが

今はお米屋さんで30kgの玄米を買って
預かってもらってちょっとずつ持って帰る
そんな風にしています。


小分けなのでオートバイでも持ち帰れる。

米30kgが家にあると、まあまあ場所もとるし
特に夏場は気温が高くて傷んでしまいます。
こういうサービスはありがたいなあ。

年間5万円弱ぐらいを
地元のお米屋さんに
支払っております。

この5万円の大部分が
地元の生産者さんに周るはずです。

さらに生産者さんが
お米の生産に使う費用や
自分が使うお金を

地元で使っていくと
お金は地元に残って
ぐるぐると回っていきますね。

仮に、県外の業者から
通販などで買ってしまった場合は

そのお金は、その時点で
地元から出ていってしまいます。

上の例は米を買うという
消費者側で見た話ですが

地元企業として
地元経済にどれくらい貢献できるのか
ということを測る手法があります。

LM3(Local Multiplier 3)
日本語では地域内乗数3、というような意味。

地域の乗数効果を3巡目まで
追いかけてみるというやり方です。

1巡目は事業者の収入

2巡目は事業者が地元内で使ったお金や
地元の従業員に支払った賃金

3巡目は2巡目の人たちがさらに
地元で使うお金

LM3は、1巡目から3巡目までの
合計金額を1巡目のお金で割ると
計算できます。

仮に1巡目、皆さんの会社が
1000万円の事業収入を得て

地元の業者に500万円
地元従業員に100万円
支払ったとします。

さらに地元の事業者や
従業員が地元で
あわせて300万円を
使った場合は

1巡目が1000万円
2巡目が500万+100万=600万円
3巡目が300万円

LM3は
(1000万+600万+300万)÷1000万=1.9

皆さんの会社が1000万円を得ると
地元には1900万円の価値がある

ということになります。
素晴らしいじゃありませんか!
(あくまで数字は仮ですよ)

これが、地元外への発注が多かったり
従業員が地元以外で
ばかり買い物をしていると

LM3は低くなってしまいます。

3巡目は、自分の会社だけでは
知ることはできませんので
2巡目の方々に教えて
もらわないといけませんが

LM3が高ければ高いほど
「地域経済に貢献している」
といっていいはずです。

いくら地域が稼いでも
外にお金が出ていってしまって
豊かにならないことを

漏れバケツ理論
なんていったりもしますね。

いくら入ってきても
穴が開いていて漏れてしまう
バケツのように

せっかく稼いだお金を
地域外にばかり漏らしてしまうと
地域には残らない

観光業なんかでよく使われますが
工務店業でも考えたい話です。

工務店がよく使う
「地域密着」という言葉

しかしこの言葉を
正確に定義しているケースは稀で

単に施工エリアを限定する
説明になっていたりしませんか?

実は漏れバケツじゃないですか?

地元にお金が回って経済が良くなることは
地元の工務店にとってだけでなく
当然、地元に住むお客さんにも
いいことです。

本当に「地域密着」をうたうなら
ぜひ、LM3の値の向上も
目指してみてください。

それには、LM3が高い企業同士で
取引するのが一番ですね。


でも、その概念を突き詰めると
僕も地元以外の仕事を
やりにくくなってしまうのか…?