自宅で看取る、という家が増えるはず

「畳の上で死ねない」というのは
悪いことをすると報いがあるぞ
というような意味で使われる言葉ですが

現実的に畳の上で死ぬ人は
多くはありません。

みんな悪いことをしているわけではなくて
畳の部屋自体が減少していることと
病院で亡くなることが多いから。

でも、この傾向に
少し変化が出ています。

1960年には
病院で亡くなる人は18.2% 自宅70.7%に対して

1970年 32.9%対55.6%
1980年 52.1%対38%
(ここで病院と自宅が逆転)
1990年 71.6%対21.7%
2000年 78.2%対13.9%

この値を見ると
最近はもっと病院で亡くなる人が
増えているだろう

9割ぐらいは
病院で亡くなっているのでは…
と思いませんか?

でも実は変化が現れています。

↓は厚生労働省の
在宅医療及び医療・介護連携に関する
ワーキンググループの資料から

(第3回の資料より抜粋)

病院での死亡は2000年代初頭に
底を打って減少傾向にあります。

代わって増えているのが
老人ホームと自宅。

一方で、厚労省の調査では
60%以上の人が自宅で療養したい
40%以上の人が自宅や親族の家での
介護を希望しています。

自宅での介護と一口に言っても
簡単ではないのですが

入院せずに自宅で療養・介護
というケースは今後も
増えていきそうですね。

かつては、畳の上で亡くなって
葬儀も二間続きの畳の部屋で
という時代から

病院で亡くなって
葬儀は葬儀会社で
という時代に変わりました。

今後また亡くなる場所が変化してくると
この構図も変わってくるのでしょうか?

でも、現代の小住宅には
葬儀どころか
親族の介護を行うスペースも
ない場合もありますね。

住宅様式は時代とともに
変わってきました。

住宅は生活の場でありますが
生活の締めくくりである
「死」という概念は
現代の住宅からは追い出されています。

でも6割が自宅で死にたい
という事実。

新築の打ち合わせをするときに
「ここで死にたいですか?」
なんて、とても聞けないのが現代ですが

もしかすると、この構造も
変わってくるかな…

なんてことを考えたのは
昨日、義父の法要があったから。

義父は畳の上で療養していましたが
診療に訪れた病院で
突然、息を引き取りました。

統計上は病院死
ということかもしれませんが
ほぼ自宅と言っていいのかな…?

ともあれ、生活の延長線上には
介護もあるし死も訪れる

これをビジネスチャンスと言っては
なんですが

在宅介護は今後確実に増えていくので
介護の部屋だけでも快適にしたい
そういうリフォームニーズも
確実にあるはずです。

生活支援産業として
家での介護と看取りを
サポートする。

地味だし大変から
意外とみんなやらないので
さっさとやったほうが
いいんじゃないでしょうか。