夏、暑い家を量産していないか

業界誌・新建ハウジングの
『アーキテクトビルダー』4月号で
住まい手向けアンケート結果が
掲載されています。

ここ2年で新築の持ち家を
取得した人600人へのアンケート

(グラフは新建ハウジングおよび月刊アーキテクトビルダー2024年4月号より)

記事は最初の部分だけ
ネットでも読めます。

自宅の性能 満足度調査 住んで『後悔』『不満』だったこと | 新建ハウジング
つくり手側が「住宅性能」に関する知見を深めることはもちろん、同時に住まい手側の意識も高めていく必要がある。そこ

このグラフを見て
最初は

断熱や耐震性をまったく重視しない人が
3.7%もいる
ということに
びっくりしたんだけど

この人たちは
断熱・耐震性能が低くてもいい
と思ってるんじゃなくて

今時の新築ならどこでも同じ
(ある程度の水準には達している)
と思っていたんじゃないかな?

実際に住んでからの感想としては
「思ったより冬は暖かく夏も暑い」
と答えている人が結構多いのが
気になりました。

これは断熱を「重視しない」人
だけでなく、重視した人を含め
まあまあ多くの人が感じています。

冬は断熱性能を高めれば
室温低下を防げますが

夏は断熱性能を高めただけでは
絶対に室温は下がりません。

なぜなら家の中に
家電・設備、そして住まい手自身
という熱源があるから。

高断熱住宅は夏も涼しい
という話をよく聞きますが

外気の影響を受けにくいので
エアコンが効きやすい
のであって

(同調査では夏のエアコンの
使い方も訊ねていますが
1日中つけているのは28.3%)

高断熱にしただけで
涼しくなるということは
絶対にない!

というようなことが
住まい手さんに伝わって
いないんでしょうね。

もっと原因として
ありそうなのが
Ua値ばっかり気にしていて

どこからどう熱が出入りするか
気にしていない
作り手側の問題

よく、この手の絵で

軒を大きく出すとパッシブデザイン!
冬は陽が入り夏は陽をさえぎる!

などといっている
工務店も見かけますが

建物は1年365日、毎日違う
太陽の動きに影響されます。

ずーっと冬至や夏至の正午な
わけではないのです。

冬は太陽が出ている時間が
短いので

できるだけ南面に大きく開いて
太陽熱を取り入れるのが
有利、というのはわかりやすいけど

夏はそうはいきません。

12時間以上も陽が出ていて
朝晩は低いところから
陽射しがあるので

特に東西からは
軒が深かろうが関係なく
陽が入ってきます。

そういうことを考慮せず
窓を配置して
なんの日射遮蔽もない

なんちゃってパッシブ住宅
暑いに決まっている。

そしてもう一つ
屋根の断熱が足りなければ
昼間に猛烈に熱せられた屋根から
室内に熱が到達してしまう。

こんなことは全部
当たり前のことなんですが

残念ながらそれをやらずに
住まい全体のUa値で
なんとかしようとする
工務店がまだまだいらっしゃる…

家づくりをするみなさんは
Ua値の大小で戦うのではなくて

その土地にはどんな風に
陽があたるのかを知って

冬はおひさまと仲良くするのは
もちろんのこと

夏はできるだけ家に入ってこないでね
ということを

夏至の正午以外も
考えられるようになっていただきたい。

自分がこの家に住んだら
どうなるかな〜という視点があれば
簡単なことなのにね。

前にもこんなこと書いてました。
おさらいに。

方位を考えてお金を無駄遣いしない家をつくろう
プロ相手に今更何をいってんだみたいなタイトルですが、方位を考えずに作られている家が思いの外、多く… ちょっと苦言です。