カタログスペックは忘れても、経験は残る

今度は豊後水道を震源に大きな地震
今のところ、亡くなった方はいないようで
不幸中の幸いですが

怪我をした人、家財が壊れてしまった人
はいらっしゃるようですし

愛媛、高知では震度6弱を
初観測とのことで
地震はいつどこに来てもいいように
備えなければ、ですね。

地域差はありますが
耐震等級3を標準にしている
工務店がずいぶん増えたように思います。

とはいえ、同じ「耐震等級3」といっても
積雪荷重の有無で大きく変わるし
地域ごとの地震係数があったりするので

耐震等級というのは
絶対的な強さ」ではなくて
法律や告示に基づいた「相対的な強さ」
なわけですね。

でも、お客さんにはそんなこと
説明しないところがほとんどで

建築基準法で定められた1.5倍の強さ!

という、事実ではあるけれど
相手には全然伝わらない表現

性能をアピールしようとするわけですが

こういう説明は住まい手さんに
どこまで伝わっているのかな?

先にも取り上げた新建新聞社の
『月刊アーキテクトビルダー』2024年4月号の
住まい手アンケートでは

2年以内に新築した人の46.2%が
自宅の耐震等級を知らない

と答えています。

断熱等級だと73.6%
一次エネルギー消費量等級は89.1%が
「わからない」との答え

これをもって
耐震性能や断熱性能が伝わっていないとか
伝える意味がない、ということではありません。

でも、その「数値」は
作り手が思っているよりも
住まい手にとっては重要な「値」ではなく

住みはじめてしまえば
「基準より強いらしい」
「今まで住んでいた家よりいい」

というぐらいのところに
落ち着いてしまう人も
まあまあいる
ということではないでしょうか。

例えばみなさんが持っている
自動車だって

カタログの燃費の数値やら
最高出力やらを覚えている人は
そんなに多くないですよね。

でも、購入時には
多くの人がカタログ燃費も重要視するでしょう。

けれどそんな数字は忘れちゃう。

でも、燃費いいな〜という経験は残る

住まいの性能等級も
多くの人にとっては
そんなものなのかもしれません。

だからといって
性能が低い家を量産していい
ということにはならないけど

作り手がリキんでいるところとは違うところに
住まい手の要求があるかもしれない。

いい経験をたくさん残せる住まいって
どんなだろうな〜
なんてことを考えています。