新品を一回使うだけの家づくりは、終わるだろうか

『ゼロからトースターを作ってみた』を読み返した。組み立て方の説明書はあっても、解体方法の説明書は、ないよなあ。


「ものづくり」という言葉、よく聞きます。
工務店の方は、割と好きな言葉じゃなかろうか。

でも、ちょっと意地悪に「ものづくり」を考えてみる。


『ゼロからトースターを作ってみた』って本、昔読んでびっくりしたのを最近思い出しました。
トーマス・トウェイツというデザイナーが、本当にゼロから——鉄鉱石を掘(ろうとし)て、プラスチックを作(ろうとし)て——電気トースターを作ろうとした顛末を書いた本です。

結果を書いちゃうとこれから読む人がつまんなくなるからやめときます。

もう一回読みたいな、と探したら『ゼロからトースターを作ってみた結果』と改題されていました。
再読してみたところ、やっぱり面白いな〜


まず、素材の調達が難しいのです。

鉄、プラスチックといったありふれた材料でも、自分で一から(ゼロから)作ろうとしたら、とてつもないプロセスが必要です。

同じように、家づくりをゼロからやってみると、木を植えるところから…だと、数十年かかりますね。
木を切るところから、でも、なかなか大変です。
鉄も使うしプラスチックも使うし。この時点でゼロから家を作れる住宅事業者は無い、と言い切っていいでしょう。

まして、トースターに比べて格段にブラックボックスが多い住宅設備なんか、無理に決まってるよなあ。


ゼロからでなくても、ものづくりは成立するはずです。
というか、世の中のほぼ全てのものづくりが、そうですね。

それでも工務店が「ものづくり」を標榜できるのはなぜか?

素材を吟味し、どうつくるかを考え、そして実際に組み上げていく。
パワービルダーとかローコストメーカーと言われるようなところには、前半の二つが欠けているわけです。

ただ、それでも「ものづくり」工務店に欠けてるかもな〜、というところがあります。

例えば、何もかも、新品だけでやる、ということ。
例えば、リサイクル・アップサイクルに関心が強くないこと。

なんかいつも以上に、偉そうな説教モードになりましたけど…
先の『ゼロからトースター』本には、こんな一文があります。

将来、製品には2冊の取扱説明書をつける必要があると思う。1冊は、どのように製品を組み立てて使うかについて記したもので、もう1冊は、その解体方法を説明するものだ。

建築にもリサイクルの法はあるけれど、法律があるからやる、というだけじゃ、解体がめんどくさくなるばかりなので、リサイクル、アップサイクルできるように考えて作る、ということだ。
そういう観点でみたら、使いたくない材料とか工法とかも、あるんだよなあ。

時代がそこら辺を重視するまでには、まだもう少し時間がかかると思うけど、いつかこの辺が主戦場になる時が来るかもしれない、などと夢想しています。

ト-マス・トウェイツ (著), 村井理子 (著)