馬鹿野郎、プロがそんなもの使えるか
という職人気質のセリフ
今回紹介するのは
建築職人の言葉
ではなくて
こちらの本
『現代調理道具論』(稲田俊輔・著/講談社)
の冒頭から
料理人の著者が
牛すじ肉をコトコト煮込むと
教えてくれた先輩に
「圧力鍋は使わないんですか?」
と聞いた時の答えなんだって。
テフロンのフライパンも
電子レンジも
「プロが使うもんじゃねえ」
どうしても使うにしても
仕込みの際であり
間違ってもお客さんに
見られるわけにはいかなかったんだとか
大工さんに
作業風景を撮らせてもらうと
電動工具を引っ込めて
昔ながらの道具を
出してくれることがある
流石に電動工具を
「プロが使うもんじゃねえ」
とは思っていないはずだけど
消費者が期待している大工像
あるいは大工さんが見せたい大工像
って、機械を使わない
ってことなのかな〜?
先に挙げた本は
プロが紹介する道具の本だけど
自動調理鍋とか
電気圧力鍋とか
「馬鹿野郎、プロが〜」的なものも
バンバン紹介されているし
あろうことか
今使っている包丁は
全部ニトリ
なんだって…
かつては鋼の包丁を
毎日砥石で研いでいたけれど
今ではそんなことするより
料理には他に面白いことが
色々ありすぎて
包丁研いでる場合じゃねえ!
と
技術を磨くとか
技術を継承する
ということはとても大事
そういう点で
職人の手仕事は
大事だし応援したい
ただ安くあげるために
大量生産するとか
安い材料を使うとか
そういうのはどうかな〜
と思うけど
他に面白いことがありすぎて
だったら
職人の手仕事よりも
優先するものがあっても
いいのかもしれない。
まあ、大抵は
コストダウンのためとか
職人がいないから
という理由でやらないだけですが
家づくりにも
こんな面白いことがありすぎて
という提示ができていたら
「その面白いところに
お金をかけたいな」
というお客さんの心が
つかめるかもしれないね。
また本に戻ると
料理なんて別にしなくてもいい時代になりつつあります。
外に美味しいものがたくさんあるから。
しかしそんな時代だからこそ、僕は家で料理をするということを一層大事にしたいと思っています。
それは栄養とか節約とかではなく
楽しさを手放したくないから、だと。
そのためには苦痛をできるだけ
取り除くってことなんだな〜
全体的にライトな感じの
本ではあるけれど
建築の仕事にも
通じるような
この言葉が重い。
昔ながらの伝統的な手仕事には憧れがあります。
リスペクトもしています。
しかしそれを全てそのまま実行する余裕はありませんし、
無理にそれをしようとすると、
いつしかそれは苦痛になるかもしれません。
なので、省けることは省きます。
そして省くからこそ、譲れない部分はしっかり守ることができるのです。
この段落は最後に
徹底的に楽をしながら徹底的に楽しむ、
そんな日々を僕は
「丁寧な雑暮らし」と呼んでいます。
とある。
おお、出たよ「丁寧な」
しかし
「雑暮らし」
ときたもんだ。
なかなか広告コピーでは
使い難い言葉だけど
現実はそんなものかな〜
なんていってると
丁寧な暮らし勢に
「馬鹿野郎、プロがそんなこと言ってるな」
と怒られちゃうのでしょうか。
一汁一菜でいい系の本とは
また違った発見があるので
お料理しない人も見てみてほしいです!
サブタイトル
「おいしさ・美しさ・楽しさを最大化する」
が、またいいんだな!