値上げで惚れられる?

他責の時代に「努力不足」と謝って、感謝の声まで出たサイゼリヤ。小さい工務店は、まだ会えない人にどう伝えるか。


日曜恒例メシの話。

サイゼリヤの値上げが、正式に発表されました。

発表は14日、実施は10月29日から。メニューの8割強が、平均6%の値上げだそうです。
看板のミラノ風ドリアは、300円から320円。

日本食糧新聞によると、メニューのほぼ全般に及ぶ値上げは、1998年の上場以来初めてだそうです。

夏に「示唆」されたときの話は前にも書いたんで似たような話です。
読みたい人は検索してみてください。
検索ログを見ても、サイゼリヤの文字がけっこう出てきます。
(読まれているのは、僕の文章なのか、サイゼリヤの人気なのか…?)

ランチとモーニング限定メニュー、それからフレッシュワインは据え置きだそうです。
フレッシュワイン、って、グラス100円(そんな小さいのは頼んだことないが)、デキャンタ大400円、マグナム1000円のアレ、だろう。

ボトルはどうなるのかな~?

いやいや、僕は酒をやめたので、ワインが上がろうが上がるまいが、自分には関係ありません。
ただ、サイゼリヤで酒を飲まなかったことがないので、気にはなるなあ(↑これが飲み納め)


さて、値上げの額より引っかかったのは、お知らせの文面です。

昨今の原材料価格の高騰や、エネルギー等のコスト上昇が続く中、当社ではこれまで価格維持に向けた取り組みを進めてまいりました。
しかしながら、当社の努力不足により、食材の不足や原価上昇を吸収できない事態が発生しております。
慎重に検討した結果、今後も商品の品質を維持し安定して提供していくため、価格改定を実施させていただきます。誠に申し訳ございませんが、お客様におかれましては、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。

一見、よくある値上げのお知らせのように見えるけど、ちょっと違う。

たいていの値上げは、外的要因のせいにしています。
しかし、今回の発表には当社の努力不足により、食材の不足や原価上昇を吸収できない事態が発生と、自分たちの問題である、と言いきっています。

こういうのが、ファンにはたまんないんだろうな~。


このところの日本社会は、政治家をはじめ、他責思考の人が目立っています。

何かあっても自分のせいではない、他のやつのせい。

そういう人、まわりに増えてないですか?

実は自分もそうだったり? あ、俺も?

しかし、サイゼリヤは、値上げして、謝って、感謝の声まで出て、株価も上がったようです。

どうしてそんなことになるんでしょう。


ここからは僕の推測です。

サイゼリヤは、行けばいつもの味、いつもの値段、という店でした。
その「いつも」の積み重ねがあるから、謝られても、怒るより先に、いやいや、となるのかもしれません。

値上げがどう受け止められるかは、発表の日ではなく、それまでの間に決まっている。
そんな気がします。


工務店は、どうでしょう。

サイゼリヤは、お客さん一人ひとりの顔を見て謝ることはできません。
だから、よく練られた文面で、まとめて伝えます。

工務店は、顔を見て言えます。
「すみません、上がります」と、自分の口で説明できる。
これは、小さい会社の強みです。

ただ、それは、会えた人だけの話です。
これから建てる人には、まだ会えません。

ニュースで「建築費高騰」の文字を見て、「うちには無理だろう」と、会う前にあきらめてしまう人もいるはずです。
(あきらめられたことすら、こちらにはわからない)

サイゼリヤは、メニューに値段が出ています。
320円と見えるから、320円なら行こう、と決められる。

工務店には、定価がありません。
定価はなくとも、価格の目安を出したらいいのに、と、僕はいつも言うんだけど、みんな、出したがらないなあ~。

見えないから、想像される。想像は、たいてい高いほうに転んでしまう。

家を建てようかと考えて、「工務店 いくら」と検索している人は、今日もきっといます(推測です)。
その人に、相場のニュースより先に、自分の言葉を届けられるかどうか。

サイゼリヤは、値上げを文面で伝えました。
工務店は、値上げの前から、言葉で伝えておけます。

「こんだけやったら、そのぐらいかかるよね」という納得を、会って、話して、プランを描いて、その後で…ではなくて、もっと早い段階で届けられるんじゃないか。
そんなことを、ワインも飲まずに、つらつらと考えています。