当たり前のはずのものが手に入らなくなったら

先日、以前書いたコラムを
修正して公開する機会がありました。

梅雨時、ということで
雨とか傘とかの話題なのですが

そこで触れていた
「エゴノキ」のことが
気になっています。

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地域をよくする工務店を
応援するネットワークの
佐塚です。

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エゴノキは、庭木としても
人気があるので工務店の人も
よく知っているでしょう。

我が家にも一本
植えてあります。

花のつき方が可愛らしいので
その時期は意識するのですが

正直なところ、普段から
それほど気にしている木
ではありませんでした。

花が下向きに咲く
面白い木ですね。

でも、庭木としては
珍しいものではありません。

ところが、このエゴノキが
不足して困っているのだとか。

和傘の原材料としてです。

和傘の「ろくろ」という部品は
エゴノキで作られているけれど
その供給がピンチになっています。

骨をまとめている黒い部品が
「ろくろ」。

エゴノキは、別名ロクロギとも
呼ばれるほど、和傘のろくろに
欠かせない木だったそうです。

最近は、和傘の生産日本一の岐阜県で
全てのろくろが作られていたそうです。

ところが、エゴノキを伐りだしてくれる
職人さんが亡くなり
供給が途絶えてしまいました。

これを憂いた人たちが
「エゴノキプロジェクト」を立ち上げて
11年になります。

エゴノキプロジェクトについて – エゴノキプロジェクト

山野にまとまって自生するエゴノキは
なかなか少ないようです。

伐採した後のひこばえは
シカやカモシカの食害にあうんだとか。

スギやヒノキと同じですね。

やっぱりオオカミを絶滅させて
しまったからシカが増えて
しまうんだよね。

とはいえ、山で作業していて
オオカミ出たら怖いけど…

なんて話を、前日ブログに書いた
木こりの前田さんとお話ししていたら
「エゴノキ自生してたところがあるよ」と

それが直接、和傘づくりの助けになるかは
わかりません。

「エゴノキが手に入らないなら
他の材料でやったらいいじゃない」

素人ながら、マリーアントワネットみたいな
ことを思ったりしますが、粘りと強度など
エゴノキ以外の材料は難しいんだとか。

和傘のことか〜って他人事に
思う人が多いかもしれません。

でも、ある時、普段使っている
材料が手に入らなくなったら
どうでしょう?

災害があると流通品が
手に入らなくなったり
ということは今までもありました。

これらは時間が経てば
回復していきます。

いわゆる「自然素材」は
必ずしもそうではありません。

材料は自然由来でも
生産者がやめてしまうと
地域ではもう手に入らない
なんていうことも。

実際に、土壁の土が
地元で手に入らなくなったり
といったことが起こっています。

いつも言っていることですが
上流工程のことに関心を持ち
協力する姿勢を持っていかないと…

「流通品を組み立てるだけ」の
土俵で勝負しなきゃいけなく
なっちゃうかもしれません。

生産者を大切に!