スケルトンへの関心をどう作るか?

お客さんの関心がスケルトンにないから、スケルトンを丸投げする事業が成立する。でもスケルトンを力説しても届かない。インフィル側の話からつなげるしかないんだろうな〜。


積水ハウスがSI(スケルトン・インフィル)コラボ事業をやっていて、僕の住むあたりだと、遠鉄グループがそのパートナーとして登録されているそうです。

この事業では、積水ハウスがスケルトン側を握っていて、パートナーはインフィルを担う立場です。お客をつけるのもパートナー側です。
メンドーな構造計算なども含めてお任せできて楽チン、お客さんは積水ハウス製の安心感も得られる、ということなんでしょう。

工法が自社の考えにあっていて、金額も折り合うんだったら悪くない話なのかもしれない。
でも、こういうのは、やったり、やらなかったり、よりも、完全移行してナンボな気がするし、一方で完全移行した後で事業から撤退されたりすると詰んでしまうし、生殺与奪権を握られちゃう怖さがあるな…

構造はお客さんが一番関心を持ちにくい部分です。
洗濯機の位置とか冷蔵庫まで何歩で行けるとかには一生懸命でも、どんなスケルトンがいいのか、ということは、よほど勉強熱心な人でなければ、深くは踏み込みません。

でも、だからこそ重要です。関心を持ちにくいということは、不具合があっても気づかれにくい、ということかもしれません。
クレームの多くはインフィル側だし(まあ、スケルトンのクレームは、あった場合はデカいものになってしまうはずだけど)

たびたび引用しているこの絵

スチュアート・ブランドが『How Buildings Learn』で示したもので、詳しくはこっちをみてください。

この図の線の太さは耐久性というか、長持ちの尺度になっています。構造(structure)は、土地の次に太い線で描かれています。
大きな間取り変更をするリフォームでもなければ、いじることはそうそうありません。後から気に入らないからと変えることもできません。
つまり、最初にきちんとやっておかないといけないことなのです。

でも、構造見学会をしても、人は来ません。
家事動線の話に負けちゃう。

でも、それって伝え方の問題じゃないだろうか。

構造の価値を「構造の言葉」で伝えているから、届かないのです。
耐震等級とか、接合部の金物とか、そういう話をしても、お客さんの頭の中にある「理想の暮らし」とつながらない。
構造の話を一生懸命伝えようとしても、お客さんは、キッチンのことで頭がいっぱいなのです。

さっきの絵は、お客さんに伝えることにも使えるのかも。
線が太いところから順番に重要だよ、って。

土地がグズグズだったらどうしようもないし、構造がダメだったら、やっぱりどうしようもない。
線が細くなっていけば行くほど、後からなんとかできるものになるわけです。

逆にお客さんの関心は、線が細い方から順番、なのかもしれない。
お客さんがスケルトンに関心を持たないから、積水ハウスがスケルトンを握れる。そういう構造なんだろうな〜。

でも、伝え方はあるんじゃないでしょうか。

「今は子ども部屋が必要だけど、20年後には夫婦二人になる。そのとき間取りを変えられるかどうかは、スケルトン次第ですよ」

みたいな話なら、お客さんの関心と、スケルトンの話がつながる。線が細いところへの関心を、線が太いところへの関心に変換できる。
インフィルへのこだわりが強い人ほど、実はスケルトンの話を聞く準備ができているのかもしれない。
(いや、新築計画中に、「将来の話」自体が通用しない…気もするけど)