『客観性の落とし穴』から

『客観性の落とし穴』(村上靖彦著/ちくまプリマー新書)を読みました。
社会の動きや人の気持ちを測定できるように数値化していった結果、何かが失われているのではないか。
そんなお話です。


住宅業界で長年の悪弊と言われていた
4号特例の廃止や
省エネ基準への適合義務化が
迫ってきました。

地震で倒壊する家や
冬寒く、夏暑い家が
なくなっていくのは
望ましいことです。

望ましいんですが
やっぱりちょっと気になることも。

『客観性の落とし穴』
(村上靖彦著/ちくまプリマー新書)
を読みました。

社会の動きや人の気持ちを
測定できるように数値化していった結果
何かが失われているのではないか

そんなお話です。

冒頭にとある入院患者の話があります。

末期がん患者が「痛い」と訴えても
検査データを見て「客観的に」
そんなはずはないと聞き入れないというお話。

当事者の経験から目を背けて
数値がこうだから
と結論を出してしまうということ。

建築の場合
耐震性能も断熱性能も基準値があり
それをクリアすれば問題ない

あるいは
その値を他社よりも優れた値に
することに価値がある

こういう考えも理解できます。

でも一方で
客観的な数値は
真理を表しているわけではありません。

北側にとてもいい景色があったら
ちょっとぐらいUa値があがろうが
大きな窓をつけた方がいいこともあるし

日射取得の少ない高断熱住宅では
より外皮性能の低く日当たりのいい住宅よりも
暖房負荷が上回ることもあります。

外皮性能だけでなく
いろんなことがそうですよね。

僕自身も
モノやサービスを導入するときは
いわゆるエビデンス(客観的数値とか)を
とても気にしますから

客観性を全否定することは
もちろんありませんが

それだけを拠り所している人には
あんまり魅力がないよなあ…

似たことを以前ブログに書いていました。

メーカーの受け売りより「俺が試して感じたよ」を
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客観的なところも理解して
抑えた上で

「それってあなたの感想ですよね」
と言われた時に

そうですよ、いいでしょう!

と堂々と言えるような
知恵と経験を積んでおくことが
仕事の面白さのひとつですよね。