我田引水にも種類がある

トンデモ住宅広告を見てしまったショックから、つい書いてしまったけど悪口ではありません。悪口じゃないんだけど…なんだろ?


備蓄米が流通しだすかな?
と思ったら今度は精米がボトルネックに

僕は普段玄米を買っているので
これで玄米流通が盛んになったらいいな
なんて思ってたら
今度は精米器が転売で高騰しているとか…

という具合に
商魂たくましいというか
浅ましい人が目立ちます。

高く売れない時代からずっと
お米を作ってくれている人たちに
何だか申し訳ない…

とはいえ日本でも昔から
我田引水という言葉があって

田んぼの水利権をめぐって
文字通り血みどろの争い
なんてのも結構あったみたい…

我田引水って言葉は
自分の田んぼにさえ水が入れば良い
そんな勝手な発想からくる成語で

まあ、僕自身もそんなところはあるし
このブログでもポジティブな使い方
してきました。

しかし、それとは全然違う
我田引水的広告を見てしまったのです。

僕がその広告に関わったわけでもなければ
広告主の会社を知っているわけではありません。
今まで一回もwebサイトも見たことのない会社です。

このブログでは社会的な課題として
(というか僕の美学に合うかどうか)
言説などを取り上げることはありますが

特定のwebサイト、会社について
あれこれ言うのは避けてきました。

しかし、これはちょっとなあ…
と思うところがあって
俎上に上がってもらう次第。

とはいえ流石に社名は伏せますし
文章はそのまんまは載せませんが
その広告及び誘導先サイトでは
おおむね以下のようなことを主張しています。

かつてはC値が省エネ基準として
採用されていたが
今はUA値が採用されている

え〜〜?
この時点でものごとの比較ができていない予感。

C値を高めると木が腐る

壁体内結露による腐食のことらしいが…
C値低い方が壁体内に水蒸気入りやすいでしょ
いずれにしても設計や施工の問題で
直接、C値に由来するものではない。

0.5回/h換気が義務付けられているので
C値は現実的な値ではない

気密測定はJISで定められた方法があり
その方法でやるからこそ数値が目安になるので
極めて現実的な値です。

どうせ換気しているから
隙間だらけでもいいよ、と言いたいのかなあ?
計画換気についての説明も聞いてみたいものです。

C値0.3なら2㎠の穴から
一冬で30リットルの水蒸気が壁内に入りこむ

これはもう
どこからどうツッコメばいいかすらわからない…

C値0.3と2㎠の穴の因果関係もわからない

どこの穴のことかもわからない
もしかして外周部は完全に気密が取れていて
壁の室内側にだけ穴があるのかもしれない

そもそもC値だけで床面積がなければ
穴の大きさは絶対にわからない

水蒸気の単位がリットルというのも
まったく水の総量がわからない
発生する水蒸気量は生活環境で変わるし
同量の空気中の水蒸気量は温度で変わるし…
(液体で30リットルと言いたいんだろうけどさ)

一般の方はこれを見て
キャー、C値を高めると30リットルの水蒸気が!
と恐れたりするのだろうか…

鉄骨なら壁内結露が起こっても躯体は錆びない。
耐震等級3のまま。
ダメージを受けたところだけ交換すれば安心。

突然、耐震等級3が出てくるのも唐突だけど
等級は書類上の話なんだから
建てた後で下がったりしないよなあ…
(そもそも腐った構造材で耐震等級の計算できないよね)

「ダメージ」が何を指すのかもわかんないけど
構造躯体の補修なら木造のほうがやりやすくない?

余談だけど
繊維系断熱材って濡れてると
断熱性能落ちるんだけど
耐震等級は3のままだからいいか!?

……
みたいな話

背景を無理やり想像すると

この会社は鉄骨系住宅を
建てているようで
鉄骨だとどうしても
C値は木造住宅より悪くなりがち

お客にC値を聞かれることが多くて
C値なんか気にするな! とばかりに
こんな発信をしてしまった
のかも知れません。

もう基準にはない値だよ!
C値を高めてもいいことないよ!
うちが得意な鉄骨なら安心だよ!

しかし全く事実でないことや
不確かなことを
ポンポンと羅列しているのが怖い。

オカルト建材よりずっと怖い。

でもここまで堂々と
しかも金をかけて広告までしている
ということは

もしかしたら僕は
致命的に用語などを間違えていて
だから意味がわかんないのかと不安になり
(大嘘です)

誰かに聞いて欲しくてたまらなくなり
(本当です)

懇意にしている工務店の社長に
見てみてもらったところ

なんかコントみたいに時代錯誤なこと言ってるけど、社内コンプラはどうなってるんだろう

って。

そうだよね〜

以前は、気密を高めると息苦しいとか
窒息するとかいうところもありました。

断熱・通気などの知識不足で
壁体内結露を起こすという事例も
たくさんありました。

しかし、これらのことは
先人の努力で解決されてきて
すでにもう通過したステージ
(だと思ってた)

でもそうでもないんですね。

実はここ、大手ハウスメーカーさんの
地方支店なんです。

まじで、本部はこれでもOKなの?
と思いますが
ハウスメーカーの末端は
こんなもんなのかもしれません。

広告費をかけて知名度を上げ
工場生産などで安心感を演出し
我田引水

でも、僕が進める我田引水は
あくまで自分の土俵で戦う
という意味であって
嘘や間違いでお客さんを誘導する
ってことではない

厳しい時代になると
人の心もすさむのか
ついつい悪口を言いたくなるけど
(あれ、僕のこのブログも悪口?)

そういう発信ではなくて

自分たちで一からものづくりをしている
小さな工務店こそ
現場のリアルなことを伝えていける
そんな存在なんじゃないでしょうか。

勇気出して、真面目な情報を伝えていこ!