「小さな家」が届く先

小さい家は、誰のためのものでもありません。けれど、潜在的に小さい家がいい、という層がいて、その層は工務店はスルーしちゃってないかなあ…?


昨日取り上げた「小さな家」

「小さな家」を素敵な言葉で
小さな家をちゃんと作れるなら、自慢しようぜ〜素敵な言葉とともに。

建主にとっても
色々なメリットがあるわけですが

小さな家をアピールすることで
これまであまりターゲットにしてこなかった
ある層にも、声が届くかもしれません。

それは、女性の一人暮らし。

女性でも男性でも一人でも二人でも
それ以上でも
みんな家は必要なわけですが

家づくりの情報は
子育て世代に向けたものが多く
いわゆる「家族」のためのもの
というメッセージが強い

家族という言葉自体が
だいぶ幅広くて

第三者的にみたら
夫・妻・子の三人家族でも

夫の立場から見たら
家族とは妻と子を指す

それと同時に三人全員を
指したりもする

……不思議な言葉です。

ひとりの場合も家族と呼ぶのか?

家に住まう族なんだから
きっと家族なんだろう。

なんてことを考えながら
気がついたのが

このところ、いろんな工務店で
女性の一人暮らしの相談や実例を
チラホラ見かけるということ。
(ということは、声が届きはじめている?)

とはいっても
女性の一人暮らしというのは
どうしても防犯面などで
その事実を明らかにしたくない
というケースが多いので

実はこの家のお施主さん
女性の一人暮らしなんです
とコッソリ教えてもらうことが多く

世の中に対しては普通に
「小さい家」として
リリースされていたりします。

もちろん、別に小さくない場合もあります。

ひとり用で大きな家もあれば
複数人の家族用の小さな家もある。
それでいいですよね。

とはいえ家づくりという顧客全体から見ると
やっぱり一人暮らしというのは
マイノリティです。

多くの情報は複数人の家族むけ
(特に子育て世代むけ)

自分に向けた情報は少なく
共感できるケースも多くない

そんな時に
一人暮らしのための家の情報に
出会ったらどうなるでしょうか?

やっと出会えた
わかってくれる人がいた

そんな風に感じてくれる、かも
(あんまりあざといストーリーなんかは
要らないんだろうけど)

必ずしも
女性の一人暮らし、という情報と
実際に施工した物件を
きちんと紐付ける必要もありません。

むしろ「女性の一人暮らし専門店」
なんて言っちゃったら
すべての物件が女性の一人暮らしか!
なんてワルいヤツのターゲットになってしまう
かもしれないし

商売上の「専門店」アピールじゃなくて
あくまでも
自分にあう住宅会社が見つからず
困っているお客さんに対しての情報提供

という観点で見ると
「小さな家」の情報発信は
直接的ではないにしても
(女性に限らず)一人暮らしの家づくりに
共感してもらえるのでは。

具体的物件のアピールじゃなくても
そういうケースもこなしたことがあるのなら
その経験を抽象化して語るのでも
良いのではないでしょうか。

だから、どんな家もステレオタイプではなく
施主側にとってみれば
複数人の家族にも一人暮らしでも
それぞれがそれぞれの事情があって

どっちも「自分のあたり前」があるのに

家は(複数人の)家族のためのもの
と思い込んでいるのは
作り手の方だけかもしれません。

家づくりの主役は子育て世代かもしれませんが
どんな家も、時間が経てば必ず
一人になる瞬間がやってきます。

子どもが巣立ち、夫婦のどちらかが先に逝き
最後に残るのはひとり。

と考えれば
一人で暮らす家は、すべての人がいつか向き合う
超未来志向の家、とも言えたりして…

まあ「どうせ最後は一人になりますよ」なんて
お客さんには面と向かっては言いづらいですけど

そういうメッセージも含めて
小さい家思考が届くといいなあ!
届けたいなあ!