相変わらず流れてくる住宅広告を見て思うんだけど、近頃は、ファサードにスリット窓一つ、上の青空に白抜きの手書き風文字で広告をしないといけないルールでもあるのか、というぐらい、似たような広告が多いなあ(いや、僕のフィルターバブルなのか?)

↑こんな感じの。これは僕が作った架空広告です。実際にはもうちょっと情報が入っているし、写真ももっと鮮明ですね。CGのように。あれ、CGなのか?
上空の青空で「抜け感」を出したいとか、「シンプル」であることを売りにしたいとか、そんな意図を感じます。まあ、わからんでもない。
広告の審査基準でこの手のしか通らないのかな〜というぐらい、似たようなのをよく目にします。
気になるのは、この手のものがよく「デザイン性が高い」とか「デザイン住宅」みたいな売り方をしていることです。
デザイン性が高いって、なんだ?
「デザイン」の定義を整理する
工務店を探すために、Google検索で「〇〇市 工務店」と入力すると、サジェストで「〇〇市 工務店 おしゃれ」とか出てきたりします。
人は「おしゃれ」を探しているようです。いっそのこと「おしゃれ」でもSEOしたらいいよ。
さて、その「おしゃれ」=「デザイン」なのでしょうか?
否。
おしゃれの定義もまた難しいのですが、デザインとイコールではないはずです。
デザインを定義してみるなら
1.本質的な定義
デザインの語源はラテン語のdesignare。「計画する」「指定する」みたいな意味です。
ある目的のために問題を整理し、組み立てることそのものがデザインです。
2.機能的な定義
もう一つ挙げるなら、ルイス・サリヴァンのいう「形態は機能に従う」。
例えば軒が深いのは、雨から壁を守り、夏の日差しを遮るためのもの。
なぜその形なのか? という問いに、合理的に答えがあるもの、と言えるでしょう。
3.表層的な定義
色、形、素材感などを整える「意匠」の部分。
白い壁がいい、とか、スリット窓がいい、とか、広告は手書きフォントがエモい(ってもう言わない?)とか。
視覚的好みとか、トレンドの反映です。
さて、あえてもう一回聞くけれど、住宅にとって「デザイン」とはなんぞや?
「なぜ」に答えられるか
冒頭の架空広告に戻ります。



もしこの物件が、「断熱性能を極限まで高めつつ、防犯上のリスクをゼロにする」という課題解決(1)と
「壁面には雨の汚れがつかない新素材を使いつつ、内部の光量を計算し尽くした結果(2)」なのであれば、それは「デザイン」です。
しかし、単に「最近はこういうのがウケるから」「インスタ映えするから」というのは、(3)でしかないなあ…
詰まるところ、デザイン性が高い、というのは、「なぜそうなっているのか」という問いに対して、意匠・機能・生活の全てにおいて、きちんと答えが用意されている状態、ということだと思います、少なくとも僕は。
そういう視点でこの架空広告をみると…それだけでは、デザイン性が高いのか高くないのかは、わかりませんね。
デザインはお化粧だけではない
住宅業界だけでなく、いろんなところで感じますが、「デザイン」は、本来の意味ではなく「スタイリング」に過ぎない状態で使われています。
お化粧も、もちろん大事です。
でも、お化粧がうまいことを、設計力が高い、かのように言うために「デザイン性が高い」なんていうのなら、いささか言葉の誤用が過ぎる。
青い空と小さい窓、そして細い手書きフォント。そのパッケージで「デザイン」と呼んで売る方が、集客のコスパはいいのかもしれません。
でもさあ、それでいいのかな? その人は、その先何十年と、その家に暮らすのです。
じゃあ、デザイン住宅って言葉を信用していい条件は何か?
例えば
なぜこの窓の位置・大きさなのか、光と風と視線の話で説明できるか
なぜこの外壁材なのか、メンテナンスと気候と敷地の話で説明できるか
なぜこのプランなのか、その家族の10年後の暮らしで語れるか
この問いに答えが用意されているなら、それは意匠がどうあれ「デザイン」だし、トレンドと集客コスパだけで答えが完結するなら、それはスタイリングであって、ちゃんとしたデザインではない。
その呼び方を間違って使うのは、お客さんに対して不誠実じゃあないでしょうか?
くれぐれも、お気をつけて。
