『建築と利他』を読みましょう

堀部安嗣さん・中島岳志さんの『建築と利他』を、はよう読みなはれ、という話です


農水大臣の
「コメを買ったことはない。売るほどある」
発言には今更ながら驚きました。

結果的にコメは買っているし
売るほどあるというのは
宮崎弁的言い方だった、などと
だいぶ苦しい言い訳…

政治家の失言の多くは
ウケ狙い
から来たものなので
僕も気をつけないとな…

(万が一やらかしたら
静岡弁的言い方、と言い訳します)

でも、そもそも
お米が手に入れられなくて困っている
そんな国民のためを思っていたら
そんな発言は思いつきもしないはず。

そこに利他の精神はあるのか?

堀部安嗣さんと中島岳志さんの本
『建築と利他』(ミシマ社)を読んで
大いに反省してほしいな〜。

利他というのは利己
対極にあるような言葉に見えます。

利己というのはわかりやすいですね。
自分さえ良ければいい。

昨今、住宅業界を含む社会に蔓延する
今だけ、金だけ、自分だけのうちの
自分だけ、の部分です。

では、自分ではなく他者を利するように
一生懸命何かをやったとします。

でも、その他者が感謝してくれなかったり
あるいはもっと感謝されたくなったりすると

感謝されたい、という利己的精神が上回り
利他的なはずがどんどん利己的になる—

そんな「利他のパラドクス」が
前書きに書かれています。

そこら辺を押さえた上で
気になるポイントをつまみ食いしてみると

ゾーエーは死んでもビオスは死なない

ゾーエー(zoe)、ビオス(bios)ともに
古いギリシャ語で「命」を意味しますが

ゾーエーは、生物的に生きている
ビオスは社会的に生きている
みたいな意味?
(哲学に出てくる言葉だし、解釈は色々ありそうですが)

建築はゾーエーを高いレベルで守れる
これは耐震性とか機械空調によるもので
それはそれで大事なことですが

それだけでなく
ビオスと触れ合える場所なのか?

それがとても大切だ、と
堀部さんは述べています。

と、この端折り方では
何言ってんのかわかんないかもしれませんが

「対自然」と「対人」だったら
対自然を優先するとか

パッシブデザインというのは
「あるものを活かす」
と広義に考えている、ということ

(なんか、高断熱にして
冬の太陽角度のことだけ言えば
パッシブデザインみたいな風潮あるけどさ)

堀部さんが普段言われていることが
中島さんとの対談形式で
よりわかりやすくなっていますが

当然ながら
明日からマネして業績が伸びる!
みたいな話は一切ありません。

上に書いたようなことに
少しでも共感できたなら
ぜひ読んでいただきたいし

そうじゃない人も
読んで心変わりしてくれたら…

この本はリアル書店先行販売で
僕も本屋さんで買ってきました。

オンラインでも買えるように
なったようですが

Amazonは在庫なし
楽天ブックスも残りわずか

そんな販売方法にも
共感しますので
いつものリンクじゃなくて
ミシマ社の書籍のリンクを貼っときます。

建築と利他 | 書籍 | ミシマ社
ちいさな総合出版社

最近はかなり電子書籍の
割合が増えたけど
リアル本はこういうおまけもいいよね。

ここに書かれている「利他」は

自らの計らいを超えた先にあるもの

やっぱり
他者をコントロールしようとしちゃ
ダメなんだ!