ホームスチールに憧れる話

ホームスチールに憧れる。滅多にやらない成功率の低いプレー。でも「誰もやらない」と「やれる人が少ない」は全然違う話で——


昨日、プロ野球の試合でホームスチールがあった、と報道されていました。
僕は野球漫画は大好物ですが、実物の野球はさっぱり…なので、どういうチーム事情とか、選手のことも知らないのですけれど、それでも、ホームスチールって憧れちゃいますよね。ドカベン・殿馬の秘走・運命とか

でも、通常は成功率がびっくりするぐらい低い、というか、そもそも滅多にやらない。
だから守備側の意識が薄くなる——というのが、成立する理由の一つでもあるみたい。


でも「誰もやらないから穴になっている」というだけじゃないですよね。

足が速くないと話にならないし、ピッチャーとキャッチャーの癖を読み続けていないといけないし、一瞬の判断を間違えたら即アウト。

「誰もやらない」と「やれる人が少ない」は、全然違う話なんですよね。

やれる条件を満たしている人間が、もともとそんなに多くない。だから、そうそうやらない。

ふと調べてみたら、野村克也はホームスチールを7回成功させているそうです(21回挑戦して)。
あれ、足速くなかったよね…?

相手の配球を読むことを生業にしている人間が、相手の隙を読んで走る。観察眼と判断力があるから、誰もやらないことが選択肢に入る。足だけで走っているわけじゃないんだなあ。


なんて話で、工務店の方々に説教めいたことを書こうと思ったけど、むしろ、自分のことが少し気になってきました。

僕の仕事は、カタリストと名乗って工務店さんの発信・方針を一緒に考えること。

誰もやらないことをやっているか、と問われると——まあ、似たようなことをやっている人はいます、多分。
でも、やれる条件を本当に満たしているか、ということは、定期的に自分に聞かないといけない気がしています。

言葉にする力はあるか。蓄積はあるか。自分の仕事を少し離れて見る目はあるか。
この三つを兼ね備えている、というのは、意外と難しいのかもしれません。

野村克也は捕手だったから、相手を読む目が走力を補っていたんだろうな〜。
僕の場合は何が、何を補っているんだろう。
酒飲むとホームスチールしてみたくなる…なんてのじゃ、アウトだよなあ。


僕は人生で(本物の)盗塁をしたことがありませんが、盗塁が人の人生を変えることはあるかもしれない。
という大変面白い本があります。
村上龍さんの『走れ!タカハシ』
ヨシヒコが走るとき、何かが始まり何かが終わる。
古い本だけど、超おすすめ。

村上 龍 (著)