「乱開発」という言葉があるように
開発という行為に対しては
枕詞のように「乱」がつきます。
開発行為が許可制なのも
開発は本質的に悪であるという
前提なのでしょう。
でも、「乱」ではなくて
環境を善くする開発もある
そんな話です。
この図は、開発地(左端)を含めた広域図です。
「里山のある町角in袋井宇刈」の
説明会がいよいよ来週となりました。
この説明会が、現職での
僕の最後の仕事になります。
まだ土木工事の着工許可が
出ていませんので
現地は現況のままですが
当日の現地見学のために
草刈りをしてもらっています。
自分たちで刈り払い機を
使ってやったこともあるんだけど
5000平米越えとなると
やっぱり機械でやらないと
しんどい…
この計画をはじめて
4年ほどが過ぎてしまいました。
計画地がある袋井市では
1000平米を超える土地利用には
土地利用申請が
3000平米を超える場合には
開発行為許可が
それぞれ必要です。
今回は5000平米を超えているので
両方必要となります。
土地利用申請は、市の指導要綱に基づくもの。
この目的は
第1条 この告示は、土地利用事業の施行に関し、必要な基準を定めてその適正な施行を誘導することにより、施行区域及びその周辺の地域における災害を防止するとともに、良好な自然及び生活環境の確保並びに個性豊かな美しい景観との調和に努め、もって市の均衡ある発展に資することを目的とする。
開発行為の許可は
都市計画法に基づくもので
こちらの目的は
都市計画法第一条
この法律は、都市計画の内容及びその決定手続、都市計画制限、都市計画事業その他都市計画に関し必要な事項を定めることにより、都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もつて国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。
土地利用の方は
災害防止、豊かで美しい環境、市の発展
開発行為は
健全な発展と秩序ある整備、公共の福祉の増進
と、イイ事が目的に書いてあります。
裏を返せば、こうやって規制しないと
災害が起きるような住宅地が作られたり
貧相で美しくない環境ができたり
不健全に発展したり
そういう事ですね?
僕らの今回の計画は
市としても初めてのことだらけで
協議にも随分時間がかかりました。
近隣の住民の皆さんにも
何度か説明会を開き
趣旨を説明してきました。
この事業を一緒にやっている
造居・小澤さんをはじめ
関係者の皆さんは
大変な苦労をしてきたし
僕も、何度、心が折れそうになったことか…
それでも、時間がかかりましたが
地元にも市にもご理解いただいて
ようやく実施の段に漕ぎ着けたわけです。
どうして時間がかかるかというと
開発=悪、乱開発という
イメージがつきまとうからなんです。
でもさあ。
実際に、周囲を車で走ってみると
開発された宅地がたくさんありますが
僕の目から見たら
貧相で美しくない環境が
不健全に発展している
ようにしか見えない住宅地が
わんさかとあります。
そういうところだって
好きで住んでいる人もいるんだから
あんまり悪くは言いたくないけど
そういうのががいいんなら
こっちの開発は
全く、まるっきり問題ないよね?
と強く思うのです。
開発・そして建築は確かに
多かれ少なかれ破壊行為ですが
一方で、今よりも
いい環境を作ることも
できる可能性を持っています。
山を削って平らにして
全面をコンクリートで固めて
木の一本もない住宅地と
地形を生かして
極力舗装をせず
緑の広場には車も入ってこなくて
子どもがのびのび遊べる場所
比べてもらえば
どっちが法律の目的に
合致しているか
一目瞭然、のはず。
できたものを見たら
納得してもらえるでしょう。
結局、時間がかかったのは
悪だから、乱開発だからではなく
前例がないからです。
でも、その前例の途に
ようやくつけました。
これが発端になって
善い開発がやりやすい
そんな地域になってくれたら
本望です。