住宅の残クレで幸せになるために

来年から住宅金融支援機構が残クレ開始。嫌なこともたくさん想像できますが、いいことだってあるかもしれない。


先日、Pixel Fold(Googleの初代折りたたみスマホ)を、お店に返却してきました。

ちょうど2年ほど前に契約したものです。
その時の様子はこちら↓

Googleの折りたたみスマホPixelFoldが予想以上だった
PixelFoldを使ってみたら、1台でなんでもこなすにはサイコーだった、という、恒例(?)Pixel推しの回です。

2年で返せば分割の残りは払わなくていい、というやつ、いわゆる残クレ(残価設定型クレジット)です。


(1台は妻の分でした)

元々28万円/台(つまり2台で56万円…)ぐらいの価格設定が、2年で払ったのは4万円/台ぐらい。
まあ、僕は損したとは思っていませんが、この差額は…誰がどうやって補填していて、誰が得する仕組みなのかな…?

住宅にも最近、残クレの波が押し寄せてきているようです。

さて、こっちは誰が得するんでしょうね〜。

これまでも、ハウスメーカーや一部金融機関が取り組んでいましたが、国が残クレの本格的な普及を目指す、と報道されていて、先日、国交省からも正式にリリースが出ていました。

国土交通省|報道資料|固定金利型住宅ローンの利用円滑化等の取組内容を発表します!~フラット35の融資限度額の見直し、残価設定型住宅ローン保険の創設等を実施~
国土交通省のウェブサイトです。政策、報道発表資料、統計情報、各種申請手続きに関する情報などを掲載しています。

住宅で残クレが普及すると、何が起こるでしょう?

これまで手が届かなかった層にも家が(ひとまず)手に入るようになり、新築需要が増えて住宅事業者はウハウハ。

売却時でも、残価部分については債務が残らない仕組み(ノンリコース)になったとしても、売却価格が下がれば次の住まいの原資は減る。
だから結局、価値を落とさないメンテが効いてくる。
ここを事業化したい住宅事業者はウハウハ。

中古流通も増え、不動産取引や住み替え時の不動産取引も増えて、住宅事業者はウハウハ。

なんて書くと、ウハウハのように見えますが。

スマホや車のように、2年とか5年とかの返却期間だったらいいですけれど、住宅の場合は、(もし精算期限がある設計だとしたら)まあまあ高齢になった状態で「実は来月、売却・精算のタイミングでした」なんて言われても、対応できない人が結構出るんじゃないかな〜?

推測ですが、さらに闇が深いのは、「とりあえずなんとか払えそうだ」と、安易に残クレを組んだ人が、「やっぱ払えね〜」という、サブプライムローンの惨事の再来になることや、返却のタイミングでまあまあ高齢になっている人が、果たして次の住居を確保できるのか、という問題もあります。

新築メインでやっている住宅事業者からみたら、家さえ売れればそんな先のことはどうでもいい、という本音もあるかもしれません。
今、こういうことを企んでいる人のほとんどが、返却タイミングでは仕事から退いているだろうし。

一方、メンテナンスの仕事は増えるかもしれませんが、売却時に価格が想定より下がったときに、矛先がその事業者に向くかもしれません。
(ノンリコース、ってことになってますが、追い金不要、というのと、売却価格が高い、ってのは違う、はず?)

って、ここまで書くと、なんか否定的に見えちゃうかもしれませんが、メンテナンスの重要さが認知され、住み替えの流動性が上がるとすれば、それは業界にとって悪い話ではないと考えています。

たびたび、このブログでも書いていますが、子育て世代に必要なスペースが、その先何十年も必要、ってことはそうそうないわけです。

家そのものは30年後も陳腐化しないように作れたとしても、家族構成の側がそれに合わなくなることは当然あるわけです。

その時に「住み替え」というのが容易にできる社会は、僕は住宅業界全体にとって悪い話ではない、と感じていますが…

その家族のために作った家だから、終の住処として愛してほしい、という気持ちはとてもよくわかります。
そういう「愛着」も、住まいにはとても重要です。
ただ、それが、より良い家に住み変わっていくことを阻害することになってしまったとしたら、それはもったいないことで…

綺麗に結論が出ませんが、「住み替え」は工務店にとってチャンスになるはず…というか、このチャンスを他の事業者に取られちゃもったいないぜ、ということだけは、少なくとも言っておきたい。

だって、まあまあいい歳の皆さん、うまく住み替えられるならアリ、って思うでしょ?
(あれ、思わない…って言われたらどうしよ)

まあ、この仕組みがもし広がるなら、住まいの入口だけでなく、出口まで面倒見なきゃいけなくなるかもしれない、ということ。

すでに引き受けている工務店もあれば、入口以降は知らね…ってところもあるから、一概には言えませんけれど「建てた住宅の価値を担保し続ける」ということに、社会が価値を感じてくれるんであれば、そこは地域工務店に一日の長がある、んじゃない?
いや、あるか? ここは自問しよう!