先日潜伏していた愛知県西部〜岐阜方面
建築やら人やら
面白いものを色々みてきました。
全然知らなかったのですが
一宮は世界的な毛織の生産地
だそうです。
木曽川が近く水が豊富で
年中湿度が高めで
毛織にいいんだって。
こんな感じの毛織工場が。
鋸屋根の北側からの
採光が毛織の作業に
いんだって。
いいなあ〜こういう
地元の水、湿度
そして光を使うって。
まさにバナキュラー建築。
窓が塞がれているのも
何かわけがあるんでしょう。
そんな毛織地帯にあるのが
墨会館。
丹下健三さんの設計です。
墨会館、の横に
公民館の看板も。
元々は
繊維の染色・艶出しをする会社の
本社社屋として作られたものが
今は市に譲渡され公共施設として
運用されています。
会社の社長が墨さんだったので
墨会館。
右手の塀は
閉鎖的・威圧的な感じが
あるんだけど
もとは工場でもあったので
その配慮かな…?
左のテラコッタは
直線メインの建築の中で
ややゆるゆるした感じで
とてもよい。
ちょっと汚れが目立つけどね…
丹下感溢れる梁も素敵です。
こちらは無料で
見学させてくれるので
中も拝見。
サイン警察の僕は
こんなのも撮ってしまう…
芝生は養生中だけど
変なサインはなくて
受付の方が声をかけてくれます。
古い建物のため
当然のように耐震改修が
されているんですが
ブレースなどを入れるのではなく
当時の意匠っぽく柱を増やしたり
打ち直したりしているらしい。
先日見てきた
丹下健三による倉吉市役所と
この墨会館は同じ年に竣工しています。
どちらも1957年の竣工
どちらも登録有形文化財
かたや市役所として現役
こなた公共施設として第二の人生
この墨会館は公民館併設なので
訪れた日も
三味線の練習会みたいなものがあったり
マダムが卓球に興じていたり
まさか世界のタンゲも
そんなことになろうとは
思っていなかっただろうけど
当初の目的と違う形であっても
建物が手を入れながら
使われていく、というのは
やはり大切なことですね。
冒頭に挙げた毛織工場にしても
この墨会館にしても
地域の風景になっています。
公共建築でなくても
あらゆる建築が地域の風景です。
何十年もその地にたって
人手に渡ることもありながら
残っていく
そんなものを作るんだから
建築ってものすごい責任
ですよね。
個人の好みや効率・価格ばかりが
優先された家ばっかりが建つようになって
僕などは辟易としていますが
それでも小さな希望はまだある
そんな体験もしてきたので
それはまた改めてブログに書きますね。