自給率にこだわるか、地元でお金をまわすのにこだわるか

天龍の若い山

1ドル160円超え、円安が止まりません。輸入に頼る部分が大きい住宅産業ですが、自給といっても限度がある。せめてお金は地元で回そうよ、というお話。


一時期、1ドルが160円を超え
円安がなんだかすごいことに

ドル紙幣イラスト

この前、iMacを買い替えた
前回買ったのは10万円切っていたけど
今回はゆうに20万円越え

でも、前回は1ドル80円の時代だったので
1,199ドルのものが10万円以下で買えたけど
今回は1,499ドルのものが24万円ぐらい

米ドルでは25%アップぐらいのものが
日本円だと2.5倍(250%)近いんだから
たまりませんな〜

輸出産業やインバウンド向け事業は
好調なようですが

地域の小さい工務店にとっては
そういう恩恵もほとんどなくて

円安は資材高騰の要因
という影響の方がずっと大きい

だから、国産の材料を使いましょう
と言いたいところですが
それで済むほど簡単な話ではない

木造住宅の場合
構造材、造作材といった木材は
おそらく全量自給可能
(現状の自給率自体は高くないけど)

天龍の若い山

↑こちらは天龍で更新中の若い山

漆喰(石灰石)や珪藻土(珪藻頁岩)
あたりは国産原料がまだまだ豊富

葛生の石灰工場

↑栃木県・葛生の石灰工場
かつては石灰移送用に
鉄道まで引き込まれていたとか

珪藻頁岩採掘場所で珪藻頁岩を持っている

↑稚内の珪藻頁岩採掘場
とにかくいくらでもあるけど
環境維持のため採掘は許認可制だそうです

コンクリートも自給できそうでいて
骨材になる砂や砂利は
国内ではだいぶひっ迫しているので
この先ずっと大丈夫とは言えないかな…

住設機器もかなり多くが輸入
樹脂サッシ、アルミサッシも原料は
ほぼ輸入ですし
ガラスも原料の硅砂はほぼ輸入

住宅の原料の自給率を計算したら
どのぐらいになるんでしょうね?

でも、そんな指標を設けたとしても
指標自体がデタラメなら
あんまり意味がないような…

僕が10年以上前に書いたコラムが
今もネットに残っておりまして

カロリーベースって何?日本の食料自給率の不思議 - 佐塚昌則 | びおの珠玉記事
(2011/02/09の記事より再掲載) 思ったよりずっと低い! 僕のお昼の食料自給率 このところよく耳にする「食料自給率」。農林水産省の発表によると、2009年度の食料自給率は、40%(※平成28年度の食料自給率は38%)。ここ数年、ほぼ...

カロリーベースの食料自給率
という考えのおかしさ

指摘しているものです

例えば、鶏卵
10個パックとかで売っているアレ

外国産なんか見たことない
というぐらい近所のものしか
売っていない気がしますが

カロリーベース自給率だと
11%(当時の数値)

なんで?

鶏のエサ、飼料を輸入に頼っているから

なんだそうです。

そもそもカロリーベースという
考えがデタラメなんだけど
(野菜を自給してもカロリーが低いから
自給率があがりにくい)

この時、思ったのは
飼料を輸入扱いにするなら
燃料も輸入扱いにして
自給率の計算に入れるべきじゃない?
ってこと

そう考えると
日本の陸上輸送はほぼトラックで
トラックの燃料はほぼ輸入ですから

この概念だと
木材自給率だってグッと下がってしまう

山からヘリコプターで
出材していればその燃料も輸入

人工乾燥で
化石燃料を燃やしていれば
それもまた輸入

だからと言って
人力や馬で運ぶわけにもいかないし

輸送網全てがEV化されるのは
まだまだ先でしょう
(電気の原料が輸入かもだし
EV自体が輸入かもしれないけど)

幸いにして
カロリーベース食料自給率みたいな
アホな指針は住宅にはありません

地域の工務店として
意識したいのは
材料供給だけでなく

地元でお金を回すということ

前にこんなことも書きました

「地域密着」は施工エリアじゃなくて金の使い方
地域経済が潤わない一つの理由に「漏れバケツ理論」があるといわれます。 せっかく入ってきたお金がみんな外に出ていってしまうから。 これは工務店業でも考えていい話なのでは?

地元が潤うことは
自社、取引先だけでなく
周り回ってお客さんにだって
いいことがあるわけですから

そういうスタイルを
積極的に押し出しても
いいんじゃないでしょうか?

そう、だから地元に飲みに行こう!
というだけの話、ではない